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働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。
「今年から、夫の会社はフレックスタイム制になりました。ワーク・ライフ・バランスに配慮した措置だそうですが、うちは夫が朝遅くまで寝るようになっただけで、特に変化はありません」
商社で経理事務をしている小山美佳さん(仮名・40歳)は言う。正社員として働いており、月末は残業で遅くなることもある。
「ほぼ残業はないですが、月末と決算のときは残業になることもあります。夫は家事はやらないので、ワンオペですね」
小山さんには、子供が2人いる。上の息子は高校生で、下の娘は中学生だ。
「子供たちとの関係はいいほうだと思います。息子は難しい時期もありましたが、今は家事を手伝ってくれるようになり、とても助かっています。父親を反面教師にしているようで、以前“なんで、あの人と結婚したの?”と聞かれたことがありました」
夫は穏やかな性格だが、かなり自由奔放なところがあるという。結婚当初、家で小山さんが夕飯を準備して待っていると帰宅した夫に「食べてきた」と言われたり、帰ってこないと思っていると泊りがけの出張に行っていたこともあった。
「付き合っているときから自由な人だと思っていましたが、結婚してからもいろいろ驚くことがありました。夕飯がいらないときは連絡してほしいし、出張で帰らないときは教えてほしいと何度も伝えましたが、だめでしたね。今は夫の夕飯は用意せず、外ですませてきてもらっています」
結婚してから、ずっと仕事と家事を両立してきた。大変だったのは、子供が小さかったときだ。近くに住む親の手を借りるなど、なんとかやりくりしてきた。
「上の子を産むとき、会社を辞めました。当時、勤めていた会社では、妊娠した女性社員は辞めるという選択しかありませんでした。下の子のときはパートで働いていましたが、やはり産むときに辞めました。子供は2人欲しいと思っていたので、上の子を産んだ後はパートの仕事にしたんです」
小山さんは学校を卒業して社会に出てから、出産前後を除いて働き続けてきた。実家に借金があり、返済の一部を担っているからだ。
「兄弟で分担していますが、それなりの金額なので、返し終わるにはまだかかります。生活に困窮するほどの負担ではありませんが、子供の教育費などもあり、楽ではありませんね」
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●取材・文/三宅航太
アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信する「人の戦力化」に関するコンテンツの編集業務に従事する。さまざまな記事の作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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