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ココロの座標

第34回「不正行為を見つけたとき」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2019年1月23日)

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 あなたは不正行為を見たことがあるだろうか。私は海外旅行中、レストランで平気で会計をごまかす女性を見たことがある。不正を目の当たりにすると、思考停止に陥ってしまう。いつも見ていれば、慣れてしまうのだろうか。

 

 

もう耐えられない

 

 医療クリニックで働いている春奈は、悩みを抱えていた。勤務先のクリニックの院長が診療報酬をごまかし、不正にお金をだましとっているという。
「院長は外車を乗り回し、優雅な暮らしをしています。私は診療報酬関連の事務をしていますが、月末の締めのころになると、院長が会計を修正して多額の請求をしています」

 

 春奈は不正を告発したいが、自分も関わっている仕事なので共犯になってしまうことを不安に感じていた。また、内部告発をしてクリニックを辞めたとしても、そんなことをした事務員を採用する病院があるかどうか、心配だった。告発は自分の首を絞めかねない。それで悩み、葛藤し続け、とうとううつ病になってしまった。
 春奈は「私は、どうしたらいいでしょうか、まだまだ働いていかなければなりません。でも、不正は許せません。不正をして平気な顔をしている人間が憎いです」と言って、どこにも向けられない怒りをあらわにした。

 

 

 

 

 

上司が横領

 

 食料品の卸会社に勤務している剛太は、上司の不正を見てみぬふりをしていた。上司は賞味期限の近い商品を期限切れ扱いにして、自分の親族名義の会社を経由し、ディスカウントショップに横流しして不正に利益を得ていた。
「私も利益の一部をもらっているので、共犯です。ホントにやばいです。いつかはバレる気がして不安です」

 

 上司からもらったお金はギャンブルで使い果たしてしまった。お金を受け取ったことに後ろめたさを感じ、共犯として捕まっても告発したい気持ちはあったが、自分の将来を考えると不安だった。

 

 不安は身体症状に表れ、剛太はめまいや指先の震え、不眠などに悩まされていた。最近は仕事も手につかず、会社も休みがちだった。心療内科に行くと軽いうつ病と診断され、医師に休養が必要と言われた。公然と会社を休めることに安心したが、剛太は「もう上司の顔を見られません」と言い、苦しんでいる。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。 

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