「費用はどのくらいですか?」
「相場を教えていただけますか?」
これは研修に関するお客様からのお問い合わせで、よくある質問です。お金のことは気になるところですし、大切なところだと思います。
民間シンクタンクの産労総合研究所が発表した「2025年度教育研修費用の実態調査」によると、2024年度の従業員1人あたりの平均研修費用は3万6,036円で、前年比1,430円増でした(回答企業159社)。企業規模別では、1,000人以上/3万9,553円(前回調査4万1,050円)、300〜999人/3万6,195円(同3万2,268円)、299人以下/3万1,788円(同3万1,087円)となっています。
また、厚生労働省発表の2024年度「能力開発基本調査」では、教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は54.9%(前回比0.3ポイント増)でした(調査対象7,454社/有効回答率57.2%)。労働者1人当たりのOFF-JT費用は平均1.5万円(前回比横ばい)、自己啓発支援費用は平均0.4万円(前回から0.1万円増)となっています(いずれも2023年度実績)。
研修の費用はどのくらいか?
研修を外部に委託したときの費用は内容や時間、講師など、さまざまな要素によって大きく変わります。
研修は、大きく2つに分けられます。あらかじめ内容が決まっている研修を複数の受講者が同じ時間・場所に集まって受講する「集合研修」と、自社に合った内容を設計して自社の社員だけが受講する「オーダーメイド研修」です。外部に依頼したときのそれぞれの費用の目安は、以下のようになります(AIに聞いた回答を踏まえ、弊社の研修担当者に確認してもらったもの)。
●集合研修
<1人あたり>
半日(2〜3時間):1〜3万円(5人参加だと5〜15万円)
1日(5〜7時間):3〜8万円(5人参加だと15〜40万円)
<向いているケース>
・参加人数が少ない(1〜5人程度)
・新入社員や新任管理職に、基礎的な研修を受けさせたい
・学びたいことがあるが、まずは全体像や基礎知識を押さえたい
●オーダーメイド研修
<全体>
半日(2〜3時間):15〜40万円
1日(5〜7時間):30〜100万円
<向いているケース>
・参加人数が多い(10〜30人以上)
・自社の課題に沿った内容にしたい
・個人の行動変容、現場定着まで考えたい
※費用の内訳は企画料、講師料、運営費、会場費、教材費、通信費など
両者を比べると、集合研修のほうが費用を抑えられますが、実効性を考える必要があります。費用を抑えても、実効性がなければ意味がないからです。研修は受講することが目的ではなく、組織の生産性を上げたり、社員の離職率を下げたり、職場のコミュニケーションを促進したりするための手段です。研修費用を抑えたいときは、実効性を確保しながら抑えるという視点で考えることが大切です。
費用を抑えるヒント
研修の実効性を考える上で最も大切なのは、目的を絞ることです。具体的には、研修で「何を知ってほしいか?」「何を学んでもらいたいか?」「何を身につけてもらいたいか?」などを明確にすることです。例えば、人材育成全般を一度にやろうとしたり、「意識改革」や「顧客対応アップ」などの抽象的なものにしたりすることは、さけたほうがよいでしょう。
<例>
目的:管理職のスキル向上
⇒スキルといってもさまざまなものがあるので、全般的な内容になる
目的:管理職が、部下との月1回の1on1で“指示待ち”を減らす会話ができるようになること
⇒具体的なので、それに資する内容になる
目的を絞れば「何をすべきか」が明確になります。例えば、管理職にハラスメントを防ぐ研修を行う場合、内容としてハラスメントに関する知識の習得と実際の対処法を学ぶことが考えられます。そして予算が限られている場合、知識は動画で、実際の対処法は対面で学んでもらうようにすれば、すべて会場に行って講師から学ぶよりも費用を抑えることができます。動画は端末があれば、いつでもどこでも視聴できるので時間の有効活用にもなります。
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●文/三宅航太
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部 データリサーチチーム所属
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。