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ビジネスで使える心理学/菊原智明

【第24回】徐々に誘い込む「ローボールテクニック」

商談や接客時など、ビジネスシーンに応用できる心理学の知識を解説します。

ローボールテクニックとは?

 相手が認めやすい提案をして、承諾したら次々とオプションを要求していく方法です。例えば、ある商品を購入するか考えている相手に対して、商品のメリットのみを説明し、購入の意志を決めた後に、「実はこのメリットを活かすためには有料の付属品を買わなければなりません」と説明するような手法。
 営業マンサイドの術中にハマった感じを与えることもあるため、使い方には注意を払う必要があります。


●解説

 ゴルフクラブを買いに行ったときです。欲しかった中古のゴルフクラブが格安で売られていました。店員に「めったにない掘り出し物ですよ」とすすめられ、《ラッキー!》と思い購入を決めました。

 その後、調整やグリップ交換など、次々にオプションを提案されました。お薦めを受け入れているうちにどんどん金額が積み上がっていきます。結局他で買うのと、それほど安くなくなったのです。
 人は一度《買う》と決断すると、その後の追加も受け入れる傾向が強くあります。まさにローボールテクニックを上手に使われたのです。

 私のローボールテクニック活用例です。モデルハウスで接客していたとき、1組のお客さまが入ってきました。

お客さま「アンケートとか書けませんがいいですか?」
「いいですよ」

 お客さまの中には事情があり、例えば現在二世帯で親に内緒で計画を立てているなど、名前や住所を教えることができない場合もあります。

 しばらくは「好みはありますか?」「シンプルな方がいいですね」など雑談をしながら様子をうかがっていました。とくにアンケートが書けない問題があるようには感じませんでした。そこで答えやすい質問を投げかけてみました。

「お名前だけでも教えていただけますか?」
お客さま「○○といいます」

 まず名前だけ教えてもらう、これがローボールです。何か1つ公開すると次の情報は比較的簡単に教えてくれます。
 その後話が弾み、結局はアンケートに住所と連絡先を記入してもらったのです。初めから諦めて接客していたら難しかったでしょう。

 お客さまは個人情報を明かすことに抵抗を持っています。諦めずに名前や住んでいる方面から質問してみましょう。





菊原智明●営業コンサルタント。大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し、営業部に配属。「口ベタ」「あがり症」に悩み、7年間、苦しい営業マン時代を過ごす。その後、それまでの営業活動の間違いに気づいてやり方を大きく変えたところ、成績がみるみる上がり4年連続トップ営業マンに。自分と同じように営業に悩んでいる人たちをサポートしたいとの思いから、2006年に独立。著者に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『トップ営業マンのルール』(アスカビジネス)、『面接ではウソをつけ』(星海社新書)など多数。 
http://www.tuki1.net/

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