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シゴトの風景

第40回「不本意な異動」

働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。

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「部下が異動するときに、いつも伝えていたことがあります。“異動は本人が思っている以上の意味はない。チャンスに変えられるかどうかは自分次第だ”といった内容です。今回は自分に言い聞かせていました」
 加藤信彦さん(仮名・45歳)は1月に勤務先で異動があり、半年を迎えた。自分の置かれた状況を受け入れられるようになるまで、時間を要したという。


「異動するだろうな、ということはうすうす感じていました。5年間動かなかったので、今回は自分の番だなと思っていたのです。ただ、異動先が自分の予想とはまったく違っていたので戸惑いました」

 大学卒業後、加藤さんは大手重機メーカーに入社した。2年前、勤続20年で会社から表彰されたという。
「20年はあっという間でした。同期入社は50人くらいいましたが、役職に就いている者もいれば、子会社に出向した者もおり、さまざまです。異動は5回目です。会社員である以上、さけられませんが、今回はかなりショックが大きかったです」
 加藤さんは長く営業の仕事をしてきた。異動前の職場では管理職として、部下の営業マンたちをまとめてきた。


「マネジャーという立場は初めてだったので、試行錯誤しながら仕事をしてきました。長くやらせてもらったことで、いろいろ勉強させていただきました」

 在任中は営業成績もよく、上司からも評価されていたという。今回の異動に動揺したのは、そうした背景があった。
「営業から物流関連の部署への異動でした。待遇や役職がそのままだったことはありがたいのですが、営業から外されたことがショックでした。異動の内示があったとき、上司からは“今までずっと営業に関わってもらったので、視野を広げるためにも違う仕事を経験してほしい”と言われました。私の異動は社内でも驚きをもたらしたようで、そのことが公になった後、誰と話しても一切そのことに触れられることはありませんでした」

 内示があってから、加藤さんは異動になった本当の理由を見つけようとして、さまざまなことを考えた。その1つが昨年、上司との面談で将来のキャリアについての考えを問われ、自分の思いを話したときのことだ。

「管理の仕事は勉強になりましたが、自分の志向としてはプレイヤーとしてやっていきたいと思っていました。なので、マネジメントをする立場から離れ、企画や開発の仕事をしたいと伝えたのです。営業で培った経験を生かせるのではないかと思いまして。その話をした後、上司が複雑な表情をしたのです」



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●取材・文/三宅航太

株式会社アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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