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働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。
転職を考えていた天野由衣さん(仮名・35歳)は、学生時代の後輩と話していて自分の職場に対する見方が変わったという。
「私は、メーカーの広報部門でPR誌などを制作する部署で働いています。最近、いろいろあって転職を考えていたのですが、学生のころ、私は編集の仕事に就きたいと思っていました。後輩と話していて、あらためてそのことを思い出したのです。後輩は、自分のやりたい仕事に就くためにがんばっている最中なので、私が夢を実現したように見えるのかもしれません」
大学卒業後、天野さんはアウトドア用品の販売店に就職した。志望動機は、趣味の1つが登山だったことである。
「私には趣味が2つあって、登山と読書です。そのどちらかに関わる仕事に就ければいいなと思っていました。いくつか出版社も受けましたが、内定には至りませんでした」
だが、入社1年で天野さんは店を辞めてしまう。
「アウトドア用品は好きですが、売るというのは想像と違っていました。売上にはノルマがあります。ノルマを達成するためには、お客さまに高価なものをおすすめしたり、いろいろなものを購入していただかなければなりません。それは、私の考える販売ではありませんでした」
その後、天野さんは知人のツテで編集プロダクションに入った。出版社の下請けで、仕事は忙しかったという。
「終電で帰ることはめずらしくなく、会社に泊まることもありました。かなり大変でしたが、仕事は楽しかったです。振り返ってみると、仕事の基礎は、そこで培われたと思います」
プロダクションには6年ほど勤務し、30歳になるころに今の会社に転職した。転職のきっかけは、結婚だった。
「労働時間が長く、給料も安かったので、将来のことを考えると不安でした。結婚が決まったころから転職活動を始めました」
現在、天野さんは編集の仕事をしているが、勤務先は出版関係ではなく、健康器具メーカーだ。広報部門に在籍し、会社のPR誌の編集や自社サイトの運営などに携わっている。
「転職先は出版以外の業界で、自分の能力が活かせるところを探しました。転職理由の1つに、出版業界の衰退があります。WEBの台頭などで出版業界は淘汰が進んでおり、前職でも年々業績が悪化していました」
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●取材・文/三宅航太
株式会社アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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