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労働関連法で実務に直結した部分をクローズアップし、分かりにくい点や対応策などを解説します。(2018年11月28日)
働き方改革関連法では、労働基準法で時間外労働の上限規制について大きな法改正が行われました。主な改正内容と36協定締結などの実務上の留意事項について、2回にわたって整理します。施行日は2019年4月1日です(中小企業への上限規制の適用は2020年4月1日)。
・原則の上限時間
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて時間外労働させる場合は、いわゆる36協定を締結し、労基署へ届け出る必要があります。現行法では、この時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間(※)とされ、旧労働省告示のため行政指導にとどまっていました。
※1年単位の変形労働時間制(対象期間3カ月超)では月42時間、年320時間
今回の法改正では、この上限時間を法律に格上げし、規制を強化します。また、限度時間を協定すべき期間は、(1)1日、(2)1カ月、(3)1年の3種類となります(現行法では(1)、(3)は同じ。(2)は1カ月を超え3か月以内)。従って、改正後は「1カ月を超え3カ月以内の期間」の選択はできません。
・特別条項における上限時間
現行法では、臨時的な特別の事情がある場合、労使間の合意により「特別条項付き36協定」を結ぶことで限度時間を超える時間を延長することができます。そのため特別条項の条件を満たしている限りは、実質、上限なく時間外労働が可能となります。
改正法では、こうした特別条項による労働時間の延長に上限を設ける規制がなされます。新たな規制は、A)年720時間以内、B)単月100時間未満、C)2〜6カ月の月平均80時間以内とされ、B)、C)については休日労働を含むことに注意が必要です。なお特別条項が発動できるのは、従来どおり年6回までとなります(下図参照)。
■図:原則と特別条項
・違反時の罰則
今回の法改正で、違反時は「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の適用対象となります。
●文/田代英治(たしろ えいじ)
社会保険労務士。株式会社田代コンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部卒。企業の人事制度の構築や運用、人材教育などに取り組む。著書に「人事部ガイド」(労働開発研究会)、専門誌への寄稿など執筆実績多数。
http://tashiro-sr.com/
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