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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

労災がおりない? 労働者かどうかの判断基準〜A事件(最高裁H8.11.28判決、労判714号14頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2023年11月21日)

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【事案の概要】
 本件は、自己所有のトラックをA社の工場に持ち込み、同社の運送係の指示に従って同社製品の運送業務に従事していたドライバーが、積込作業中に傷害を負い、労災申請をしましたが不支給とされたため、その取り消しを求めた事案です。

 A社の指示は原則として、運送物品、運送先及び納入時刻のみで、運転経路や出発時刻、運転方法等は指示されていません。また、1回の運送業務を終えて次の運送業務の指示があるまでは、運送以外の別の仕事が指示されることはありませんでした。
 勤務時間については始業・終業時刻は定められておらず、当日の業務を終えた後、翌日最初の運送業務の指示を受け、その荷積みを終えれば帰宅できました。翌日は出社することなく、直接最初の運送先に対する運送業務を行うこととされていました。





 報酬は、トラックの積載可能量と運送距離によって定める運賃表により、出来高が支払われていました。ドライバーは所有するトラックの購入代金のほか、ガソリン代、修理費、運送の際の高速道路料金等もすべて負担していました。報酬の支払いにあたり、所得税の源泉徴収、社会保険料の控除はされず、報酬は事業所得として確定申告していました。
 このようなドライバーが「労働者に当たるか」が問題となりましたが、1審は肯定、2審は否定、最高裁判決でも否定されました。


【裁判所の判断】
 最高裁は、上告人のドライバーは業務に使用するトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである、としました。その上で、A社は運送という業務から当然必要とされる運送物品、運送先、納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関して「特段の指揮監督を行っていたとは言えない」としました。

 また、時間的・場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がA社の指揮監督の下で「労務を提供していたとは評価できない」としました。そして、報酬の支払方法、公租公課の負担等についても、上告人が労働基準法上の「労働者に該当すると解される事情はない」としました。

 一方で、上告人は、専属的にA社製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業・終業時刻は運送係の指示内容によって事実上決定されること、運賃表に定められた運賃はトラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたことなど、「労働者性を肯定する方向の要素がある」ことも認定しました。

 しかし、そのような要素を考慮しても、上告人は労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも「該当しない」と判示しました。
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●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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