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事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

第5回「会議中に居眠りをする人がいたら」

働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。(2024年8月20日)

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何時間、眠っていますか?

 
私の周りで働いている人たちに「何時間、眠っていますか?」と尋ねると、「5、6時間寝ています」と答える人が多かったです。それは、果たして適正な睡眠時間なのでしょうか。ペンシルべニア大学などの研究チームが行った実験によると、6時間睡眠を2週間続けると48時間徹夜したのと同程度の認知機能となり、酩酊状態に相当するそうです。(※1)

 そんな話を聞くと驚かれる方も多いと思いますが、睡眠は働く中で非常に切実な問題をはらんでいるケースがあります。今回は、睡眠に関する事例を考察します。





■今回の事例
 A課長(45歳女性)は、部下のBさん(38歳男性)について悩みを抱えています。Bさんは仕事ができるタイプではありませんが、たのんだ仕事は期日に遅れることはあってもきちんとこなしてくれていました。ところが、最近はミスが多く、会議中にもよく居眠りをしています。A課長は、Bさんにどのような対応をとればよいでしょうか。


■解説
本音を言える環境作りと声かけ

 部下の話を聞くときは、他の作業をしながらではなく、前傾姿勢で本人と向き合うことが大切です。また、「仕事に専念していない」=「問題社員」と決めつけて声をかけるのではなく、対話をするために声をかけるという意識が必要です。NGワードではなく、OKワードの声かけをしてみましょう。

・NGワード「仕事をする気がないのか?」「なぜ、ぼーっとしているんだ!」
・OKワード「ずいぶん眠いようだけど、最近眠れてないの?」


原因別の対処法

 
居眠りをしている原因は、大きく分けて2つです。夜更かしをして睡眠時間が足りていない場合と、何らかの要因で不眠になっている場合です。それぞれの対処法について、解説します。

(1)夜遅くまでスマホを見たり、ゲームをしたりしている場合
 頭ごなしに叱るのではなく、まずは本人がどこまで自分の状況を認識しているか、傾聴しましょう。その上で、仕事に支障を来している場合、自己管理の考え方や方法などを提案してみましょう。

(2)睡眠障害の場合
 睡眠障害の疑いがあるときは「飲み物でもどう?」などと言って他の人がいないところに連れ出し、眠れているかどうかについて聞きましょう。例えば、エプワース眠気尺度(※2)の内容を確認するとよいでしょう。この尺度は、医師が睡眠障害のアセスメントをするときのツールです。病気の診断は医師にしかできませんが、内容を知っておくことで部下の状況を把握することができます。

 ヒアリングで、家族から「いびきがすごい」と言われるなどの話が出てきたら要注意です。睡眠時無呼吸症候群の可能性があるならら、睡眠外来や耳鼻咽喉科などに受診勧奨しましょう。治療法として、CPAP(シーパップ)という機器で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療が一般的であり、健康保険も適用されます。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。
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