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労働ニュースに思うこと

【2025法改正】人事泣かせ!? 育児・介護の両立支援は個別対応が義務化

個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2025年1月9日）

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【2】その他の子育て支援関連法の改正
　育児介護休業法だけでなく、次世代育成支援対策推進法や雇用保険法でも、両立支援・子育て支援に関する法改正が進められています。次世代育成支援対策推進法では、育児休業取得等に関する状況把握や数値目標設定が義務付けられるようになり、企業側により一層強い取り組みを促しています。

　また、雇用保険法では、育児休業期間だけでなく育児休業から復帰後の時短勤務期間においても、新しい給付金制度が創設され、経済的な面からバックアップが行われます。
■2025年4月1日施行
��育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務化
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務となります（従業員数100人以下の企業は努力義務）。

（1）計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握等（PDCAサイクルの実施）
（2）計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定


■2025年4月1日施行
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(1)実質手取り10割に（「出生後休業支援給付」創設）
　子の出生直後の一定期間以内（男性は子の出生後８週間以内、女性は産後休業後８週間以内）に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13％相当額が給付される制度です。元々、産休・育休期間は社会保険料の納付が免除されていますので、これによって、最大28日間は育児休業給付と合わせて給付率80％（手取りで10割相当）の給付が受けられることになります。

(2)時短勤務でも賃金10％上乗せ（「育児時短就業給付」創設）
　被保険者が、2歳未満の子を養育するため時短勤務をしている場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10％が給付されます。
 
【3】育児介護休業法（介護系）
　先ほども触れた育児介護休業法ですが、次は介護分野に関して整理していきます。

　人口の多い団塊世代が後期高齢者になり、働きながら家族の介護を担うビジネスケアラーも増加しています。仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま離職に至る「介護離職」は大きな問題となっており、その防止が急務です。そのため、今回の改正では、仕事と介護の両立支援制度の効果的な周知と、制度を利用しやすい雇用環境の整備が求められています。

�＿雜邉找砲鮗萋世任�る労働者の要件緩和
除外できる労働者の範囲が縮小し、「継続雇用期間6か月未満」を除外規定から撤廃

��介護離職防止のための雇用環境整備
　介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主に対し以下のいずれかの措置が義務化されます。

・介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
・介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備（相談窓口設置）
・自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
・自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

�２雜醂タλ瓢澆里燭瓩慮鎚未亮�知・意向確認等
(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する「個別の周知」と「意向確認」が義務化

　介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は、

・介護休業制度等に関する事項（制度の内容、申出先、介護休業給付金に関すること）の周知
・介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認

を、個別に行わなければなりません。　

(2)介護に直面する前の早い段階（40歳等）での情報提供が義務化
　労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する事項（制度の内容、申出先、介護休業給付金に関すること）について情報提供をしなければなりません。

�げ雜遒里燭瓩痢屮謄譽錙璽�」導入が努力義務化
　要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務となります。


最後に

　「育児」に関する両立支援策は、昔に比べれば一定の認知・利用が進み成熟してきました。私自身も実際に既存の制度の恩恵を受けており、社会が働きやすい環境に変化していることを感じています（とは言え、当事者として子育てをしながら働くことの苦労や葛藤がゼロになったわけではありませんが…）。

　一方、「介護」に関する両立支援策は認知・利用においてまだまだ課題が残っています。超高齢社会を迎えた今、「介護離職」は、今後、より大きな問題となるでしょう。自社の貴重な戦力を失わないためにも、今回の法改正は対応の検討や見直しのよい契機になるのではないでしょうか。

　育児や介護にかかわらず、働き方をセーブしたい状況というのは誰にでも生じ得ることです。加えて、働くことの価値観も多様化しています。「柔軟な働き方」や「それを受容する雇用環境」は、そういったリスクや変化に対応するために企業に必要な土台になってきていると感じています。今回の法改正を通じて、より多くの人が、自身のキャリアを諦めずに活躍し続けられる職場・企業が増えることを期待しています。


※参考サイト
●文／古橋孝美（ふるはし たかみ）
2007年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。求人広告の営業職として、企業の人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動し、企業と労働者への実態調査である『パートタイマー白書』の企画・調査・発行を手がける。2012年、新卒採用・就職活動に関する調査プロジェクトを立ち上げ、年間約15本の調査の企画・進行管理を行う。2度の産休・育休を経て復職。子育て施策や女性活躍に関心があり、休職中に独学で保育士資格を取得。現在は、雇用の現状や今後の課題について調査を進めるとともに、Webサイトのコンテンツのライティング、顧客向け法律情報資料などの作成・編集業務も行っている。
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