人間が、組織について考え始めたのは、いつ頃からか?
このコラムのテーマである「ヒトがあつまる」ことについて、今回は考えていきたいと思います。
そもそもヒトはなぜあつまるのでしょうか? つまり「組織というものは、どういう理由から生まれたのか?」という考察です。
「ヒトは、組織というものについて、いつ頃から考えてきたと思いますか?」
こういう問いかけを管理職研修で行うことがあります。すると、結構みなさんは頭を悩ませます。
「狩猟の時代?」「いや、農耕でしょう」「マンモスと戦うときかなぁ」「縄文時代」「弥生時代」「旧石器時代」「石器時代」「原始時代」などなど、いろんな意見が出てきます。「そもそも組織って、どう捉えればいいの?」というような根本的な話も出てきます。
たしかに組織の大きさをどう捉えるかによって、答えは変わってきますよね。近代組織論だと、「産業革命が…」みたいな話にもなってきます。

仮に組織の最小単位を「家族」としてみると、生物学上オスがいてメスがいて子供が生まれて家族になるわけですから、人間はかなり昔から組織を持っていたことになります。もしかしたら言葉を持つ前から組織はあったかもしれません。つまり人類が人類たりえたときから、人間は組織について考えてきたともいえます。
私の出身地は温泉で有名な九州の別府という場所ですが、別府市と大分市のちょうど間に高崎山という山があって、高崎山自然動物園という公園があります。ここには野生の猿が群れを作って、観光客に餌をもらいに麓に降りてくるのですが、ちゃんとグループがあって、それぞれのグループにボス猿という存在がいます。
つまり、猿にも組織があるということです。
極端な話、アリやハチといった昆虫も女王アリや女王バチの周りを働きアリや働きバチが取り囲んで守るという組織的な動きをします。恐らく本能的に組織を作っているものと思われます。
生き物の究極の目的は、「種(しゅ)の維持・保存」、つまり種(しゅ)を絶やさないために、生き延びていかなければならないというものです。
生き抜くためには、食べ物を確保しなくてはならない。そこで、狩猟とか農耕という話になります。狩猟にしても農耕にしても、1人で行うよりは集団で行ったほうが、食べ物を確保しやすいわけで、そのあたりから生き物は組織的な動きをしたと考えられます。アリやハチが組織を作るのもうなずける話です。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。
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