職場で、社員の主体性が不足していると感じることはありませんか? 指示を待つだけで自ら行動しない社員がいることで、ストレスを感じる場面も多いのではないでしょうか。「指示待ち社員」の課題を解消するためには、「自走するチーム」をつくることが効果的です。
本連載では、部下やチームメンバーが当事者意識を持ち、主体的に動けるようになるために、リーダーやマネジャーが「何を考え、どう行動すればいいのか?」を具体例を交えて解説し、チームメンバーの協力を引き出す方法や考え方をお伝えします。
必要なのは「自走するチーム」
「自走するチーム」とは、社員が指示を待つのではなく、自分たちで問題を見つけ、協力して解決できるチームのことです。こうしたチームでは仕事がスムーズになり、社員のやる気も上がります。社員が自分で考えて動くようになると、「やらされ感」がなくなり、やりがいや自信につながります。
私のクライアントである卸売業の会社では、上下関係が厳しく、若手社員がすぐに辞めてしまう課題を抱えていました。しかし、これからお伝えする内容を実践した結果、離職が止まり、社員が積極的に仕事に取り組むようになりました。
Googleも注目! 社員を自発的に行動させる方法
指示待ちの社員を減らし、自走するチームをつくるためには、社員が安心して意見を言え、行動できる環境が欠かせません。このような環境を、「心理的安全性」が確保されている、と言います。
「心理的安全性」とはGoogleが行った研究で広まったものです。「心理的安全性」が確保されている職場は、社員の主体的な行動を引き出す効果があるだけでなく、離職率が低く、生産性も高いことが実証されています。心理的安全性を築くためには、以下の3つの方法を取り入れることをおすすめします。
(1)リーダーが自分の失敗談を話すこと
リーダーが自己開示をし、「以前、自分もこんな失敗をした」と過去のエピソードを話すことで、メンバーは安心感を持ちます。
<エピソード例>
「新人時代に指示を誤解し、違う資料を作ってしまい、納期直前に慌てたことがあります。そのとき上司から『確認が大事だ』と教えられました。それ以来、必ず確認するようになりました」
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●文/伊藤じんせい
チームビルディングコンサルタント。大学卒業後、測量会社勤務、行政書士事務所開業を経て、世界的な経営コンサルタント、ジェームス・スキナー氏のセミナーでチームビルディングのメソッドを学ぶ。現在、スキナー氏が創業した有限会社トゥルーノースのビジネスパートナーとして、コンサルティング活動を行っている。支援実績として、半年間で金属加工会社の売上15%増・利益率10%増、食品卸売会社で売上4.3倍を実現。木工加工会社では下請け依存体質から脱却させ、新事業の売上1,800万円を達成。著書に『自走するチームの作り方』(つた書房)。