あらゆる仕事に必要な設計図と工程表
日頃、仕事をするときに、工程表を活用していますか?
仕事の完了から逆算して業務を遂行する上で、とても重要で便利なツールです。業務内容が複雑で、多くの人が関わる仕事であればあるほど、綿密に練られた完成度の高い工程表は、その威力を発揮し、成果を担保します。
例えば、ビルを建てる、ダムを建造する等、建設工事には、必ず設計図と工程表があります。建設工事は、顧客の注文を受けて、一品ごとに異なる土地で生産される「単品受注生産」かつ、現場作業は屋外で行われ、気象条件や地理的条件に影響を受ける「現地屋外生産」です。また、多くの労働力が必要な「労働集約型生産」が特徴です。
このような業務ですから、山を削る、地面を掘る等の現場作業は一旦取り掛かると、パソコンで作成した書類をデリートボタンで、簡単に消去するようなことは出来ません。ですから、絶対に間違ってはいけないように、設計図は、技術者が綿密に計算、作成し、工事を進める際に必要な情報を共有するために使われます。
工程表は、工事の各工程のスケジュールや進捗状況を示すもので、工事全体の流れを把握するために作成します。私は、設計図と工程表は、建設工事だけでなく、あらゆる仕事に必要だと考えています。設計図と工程表は、日常業務のミッション/戦略/戦術、そして、工程表に置き換えられるからです。
「工程表の作成をお願いします」と言ってみる
完成度の高い工程表は、仕事の成果を担保します。「絶対に達成できる、これで大丈夫だ」と自信を持てる状態になっているかがポイントです。工程表を自分で作成し、使い慣れている方は、工程表を一目見ただけで、達成可能な計画かどうか分かってしまうものです。
仕事を確実に進めるために必要な工程表ですから、仕事をする人は誰でも作成できた方が良いです。もし工程表の一部を担うだけの業務であれば、工程表の作成は不要かもしれません。ただ、それは、仕事ではなく作業です。仕事の全体を設計し、ゴールまで進捗管理する能力は、職場の全員が持っていた方が良いです。なぜならば、職場全体の仕事力が向上し、生産性が高まるからです。
もし、あなたに部下、後輩がいる場合、「工程表の作成をお願いします」と言ってみましょう。まずは、どのような反応があるか観察してみてください。例えば、少々極端な3人のタイプで比較してみましょう。まずAさん、工程表の具体的なイメージについて事細かに確認してきます。もしかすると、工程表の作成期日を「明日迄」「明後日迄」等、交渉してくるかもしれませんが、工程表を作成して提出してくる可能性は高いです。あとは、工程表の内容がどのくらい綿密に練られているかを確認するだけです。
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●文/波多野雅彦(はたの まさひこ)
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部 キャリア開発支援チーム/教育・研修企画担当/キャリアコンサルタント(国家資格)
大学卒業後、大手ゼネコンにて国内外建設プロジェクトの施工管理に従事。経営学修士号取得後、経営コンサルティング会社にて経営体質改善・人材育成支援業務に携わる。現在、キャリア開発支援チームにて、教育・研修を通してお客様が目指す会社づくり、人づくりにお役に立てることを目指して日々業務に取り組んでいる。