私の行きつけの理髪店のお兄さんはとっても話題が豊富です。みなさんの中にも、理髪店や美容室の店員さんに雑談の達人のイメージを持っている方って多いのではないでしょうか。そんな雑談の達人の店員さんから相談されたことがあります。
店員「言いにくいことを言うときって、どうすればいいんですか?」
私「例えば、どんなことが言いにくいんですか?」
店員「まぁいろいろありますが、一番言いにくいのは値上げですね」
聞けば、理髪店は商品のようなモノを提供しているわけではないので、原材料の高騰がお客様にはピンとこないらしいのです。とはいっても、光熱費やシャンプーや定期的に購入するハサミや器具などの値段は上がっているので、経営は圧迫されます。
どうやって値上げを伝えるか?
そこで私は「最近、値上げラッシュですよねって話を振ってみたらどうですか」と提案しました。値上げラッシュの話をした後、「お客さんの会社でも商品とかサービスの値上げとか検討されてるんですか?」と会話を進めます。値上げを検討していれば「そうですよねー」と相づちを打ち、値上げをせずにがんばっているのであれば「すごいですね、大変じゃないんですか?」と聞いてみます。すると、恐らく相手から「そうなんですよ。結構大変で…」という答えが、十中八九返ってくるのではないでしょうか。その答えが返ってきたら「そうですよね。今、どこの企業も値上げ『せざるを得ない』状況ですからね」と応じて、いったん別の会話をします。
しばらく他の話をして、一度違う話題に焦点を移してから「先ほどの話じゃないですけど、実はうちも光熱費とか○○の費用が結構厳しくて値上げせざるを得ない状況なんですよ」と切り出します。前の会話で「世の中全般で値上げせざるを得ない状況になっている」という共通認識(合意)が取れているので、話し出す方も聞き入れる方も比較的スムーズな流れで値上げの話題に入れます。
値上げは「大変じゃないよ」と言われたら
では、「全然大変じゃないよ」と言われたらどうするのか?
その場合は「簡単に値上げするお店や企業は努力が足りませんよね」と値上げしない方の肩を持ってみます。すると、かなりの高確率で反発・反論してきます。もしかしたら、行き過ぎた主張に対する揺り戻しなのかもしれません。以下、人の態度や行動に問題を感じたときの会話例です。
<会話例>細かいことをネチネチ責める人に対して
私「この前、同窓会で会った友達が、上司に心底困ってましてね。重箱の隅をつつくように、細かいことを延々と指摘されるんですって。だから私は言ってやったんですよ。なんてよい上司なんだ。そんな細かく指導してくれる人なんて、なかなかいないよ。それを、細かくて疲れるなんて言うのは、お前がなってないからだって。お前に気遣いが足りないんだ、って。そう思いませんか?」
細かい人「まぁそりゃそうなんだけど…その上司も、もう少し言い方とか相手のことを考えてあげればいいのにね」
●文/桑山元(くわやま げん)
研修講師・お笑い芸人・俳優。早稲田大学教育学部を卒業後、大手損保会社に入社。新入社員代表として答辞を務める。入社2年目に資産運用担当者として1,000億円を運用。その後、メインバンク本店担当部署で法人営業を経験。同社を退社後、声優養成所を経て、時事ネタを得意とするコントグループ「ザ・ニュースペーパー」に19年間所属。2022年に退団し、芸人と研修講師の二刀流で活動スタート。会社員時代に培ったビジネススキル、お笑い芸人として磨いたコミュニケーションスキルとアドリブ力などを武器に、企業や自治体などで数多くの研修を実施。メディア出演・掲載実績多数。著書に『すぐ使える!おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術』(日本実業出版社)。キャリアコンサルタント(国家資格)、損保代理店資格(特級・一般)、ニュース時事能力検定(準2級)。