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社員が自ら動き出す職場のつくり方〜ティール組織という選択〜

マネジメントや人材の活用・育成、組織運営など、人事労務に関する課題や問題をテーマに有識者や専門家に解説していただきます。(2026年4月2日)

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 「ティール型経営」を標榜している、株式会社ネットプロテクションズの柴田紳社長は、著書『管理職を全廃しました:社員全員が自走する「ティール型組織」』(ダイヤモンド社)の中で、ティール型組織であり続ける前提として、可能な限り社内情報を公開する「開示文化」が必要だと述べています。

 また、サイボウズ株式会社の山田理副社長も、著書『最軽量のマネジメント』(ライツ社)において、「最軽量のマネジメントとは、情報の徹底公開ただひとつ」と書いています。サイボウズでは、一部の例外を除いて、経営会議を社内システムで公開し、新人を含め誰もが視聴や参加ができるようになっています。

 経営者だけが情報を持ち、現場は知らされない。そうした状態では、社員は受け身にならざるを得ません。逆に、必要な情報が共有されれば、社員も経営者に近い視点で考えられるようになり、チーム内でも互いに協力しやすくなります。そして情報が開かれていれば、隠し事や自分勝手な行動も起こりにくくなります。だからこそ、自律型の組織をつくるうえで、情報の透明化は欠かせないのです。





自律への第一歩は、週1回の「振り返り」

 多くの企業にとって、会社全体をいきなりティール組織に変えるのは現実的ではありません。そこで有効なのが、チームや部署単位で小さく始める方法です。その第一歩としておすすめしたいのが、「週末の振り返り」を全員で行うことです。今までも、報告と指示を行い、リーダーが「メンバーにとって必要と思う情報」を共有する「部内ミーティング」は行っていたと思いますが、それとは異なります。

 やることは、チームで集まって「今週うまくいったこと」「問題だったこと」「次に改善すること」を共有することです。「振り返り」ではリーダーは置かずに、司会役も「ファシリテーター」の役割に徹します。「え? それだけで?」と思われるかもしれませんが、この「振り返り」を正しく行うことができれば、それだけでも自律した組織になる大きな第一歩になるのです。


報告会や反省会にしないこと

 この「振り返り」には、大きく2つの意味があります。1つは、目的の共有。チームが「何を目指しているのか?「何を大事にしているのか?」を、毎週確認する機会になります。目的が共有されれば、メンバーは細かな指示がなくても、自分で考えて動きやすくなります。

 もう1つは、上述した情報の透明化です。全員で振り返りを定期的に行うことで、「誰がどんな仕事をしているのか?」「どこで困っているのか?」「何が進んでいて何が止まっているのか?」が見えるようになります。すると、メンバー同士が自然に助け合えるようになり、自分だけ状況を抱え込むことも減っていきます。

 大切なのは、この場を「報告会」や「反省会」にしないことです。誰かを責めるのではなく、チームとして学び、次に生かす場にする。そうすることで、メンバーは安心して本音を出せるようになります。
 ティール組織というと大きな制度改革のように聞こえますが、実際には、こうした小さな実践の積み重ねによって育っていくものなのです。目的を共有し、情報を開き、定期的に振り返る。まずはそこから始めるだけで、チームは確実に自律型へと近づいていきます。



●文/島青志(しま せいじ)
ブルーロジック株式会社代表取締役、イノベーションデザイナー
IT ベンチャー、広告会社、会計事務所などを経て、 2010 年に経営コンサルティングを行うブルーロジック株式会社を創業。アート思考、デザイン思考、システム思考を基盤に、企業のDX導入や組織変革のサポート、イノベーション(新製品開発)の創出支援などを行っている。著書に『熱狂顧客のつくり方』(IBCパブリッシング)、『いつもひらめいている人の頭の中』(幻冬舎新書)、『頭がいい人の思考のコツ 考えるスイッチ』(総合法令出版)など。企業研修、講演、セミナーへの登壇多数。
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