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政府や調査機関などが発表している労働関係の統計データを中心に、データの見方や、仕事に生かすやり方を解説します。
1.はじめに
「景気が良くなってきたようだから、来年の賃上げは多めになるのかな」
このように考えている人もいらっしゃるでしょう。ところで、景気は本当に良くなっているのでしょうか。また、景気が良くなっているとしたら、何%ぐらいの賃上げになるのでしょうか。
国内の経済状況を捉える指標としては、「GDP」や「景気動向指数」等があります。今回は、これらの指標について説明します。
2.GDPとは
GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)とは、一国内で一定期間に産み出されたモノやサービスの付加価値の合計で、その国の経済規模を表す指標です。
GDPが大幅に増加していれば(GDP成長率が大きければ)、その国の経済活動が活発で、製品やサービスが大量に製造・販売されている状態にあります。こうなると、企業の業績が良くなり、その一方で労働力が不足気味になりますから、賃金が上昇します。
GDPは、内閣府が4半期ごとに発表します。11月中旬に「GDPが年率換算で1.9%増加した」というニュースが流れましたが、これは日本経済が着実に回復してきていることを示しており、この数字からすれば、来年度の賃上げは今年度よりも多めになりそうです。
3.景気動向指数とは
景気動向指数も、経済情勢を捉える指標として頻繁に使われます。
これは、さまざまな経済活動に重要で、かつ景気に敏感に反応する生産、雇用などのデータの動きを統合した指標で、内閣府が毎月公表します。政府が行う「景気が改善している・悪化している」等の判断は、この指標をもとに行われます。
景気動向指数には、景気に対し先行して動く「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」の3本の指数があります。基本的に、先行指数は景気の動きを予測するとき、一致指数は景気の現状を把握するとき、遅行指数は景気の動きを事後的に確認するときに用います。
[図表1]は、GDP成長率と景気動向指数(一致指数)の推移をグラフ化したもので、この2つの指標が似たような動きをしていることが分かります。
【図表1】GDP成長率と景気動向指数の推移
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●深瀬勝範(ふかせ かつのり)
Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ−タ活用術」(労務行政)。
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