報告書やメール、SNSでの発信など、ビジネスは文章を書く機会にあふれています。さまざまな目的に合わせて、伝わる文章を書くために必要なことを解説します。(2024年11月26日)
句読点(くとうてん)をうまく使えていますか?
句読点とは、句点(くてん)と読点(とうてん)の総称です。文を読みやすくしたり、意味を正しく伝えたりするときに使うものです。今回は句読点の使い方について、解説します。
・句点「。」(マル):文の最後に打ち、終わりを示す
・読点「、」(テン):文中に打ち、文や単語の区切りを示したり、意味を強調したりする
(1)句点の使い方
句点は文の最後に打って終わりを示すものなので、途中で打たないようにしましょう。
<例文1>
仕事をリタイアした高齢者の中には地域に恩返しがしたい。といった理由で仕事に就く人が少なくない。
<改善例1>
仕事をリタイアした高齢者の中には地域に恩返しがしたい、といった理由で仕事に就く人が少なくない。
句点は文の終わりに打つものですが、カッコ(「 」( )など)を閉じる前は省略します。閉じることで文の終わりを示せるので「。」がなくても意味は通じますし、見た目もすっきりします。
<例文2>
仕事をリタイアした高齢者の中には「まだまだ元気なので働きたい。」といった理由で仕事に就く人が少なくない。
<改善例2>
仕事をリタイアした高齢者の中には「まだまだ元気なので働きたい」といった理由で仕事に就く人が少なくない。
(2)読点の使い方
読点は、文の内容や意味の取り違えを防いだり、読みやすくしたり、大事なところを強調したりするために使います(打ち方が明確に決まっているわけではないので、打たなくても文法的な間違いはありません)。以下、目的に応じた使い方を解説します。
・正しい意味を伝える
例文3は同じ文ですが、読点の位置が違います。読点の位置で、育児をしているのは「鈴木さんなのか、働く人たちのなのか」が変わります。自分の伝えたいことが間違って伝わらないように、読点の位置に注意しましょう。
<例文3>
鈴木さんは育児をしながら、働く人たちをサポートしている。
鈴木さんは、育児をしながら働く人たちをサポートしている。
・読みやすくする
読点のない文は読みにくいです。とくに長い文の場合、読み手は自分で意味の区切りを見つけなければならないので負担になります。修飾語が「どの言葉にかかるのか?」がわかりにくかったり、意味を間違って解釈してしまったりする可能性があります。
例文4は読点がなく、改善例4は意味の区切りで読点を打ったものです。長い文は、意識的に読点を打つようにしましょう。
<例文4>
扶養控除とは家族を養っている納税者の負担を軽くする制度で同じ年収でも扶養する家族がいる人といない人とでは生活費が異なるため個人の事情に応じて負担を軽減しています。
<改善例4>
扶養控除とは家族を養っている納税者の負担を軽くする制度で、同じ年収でも扶養する家族がいる人といない人とでは生活費が異なるため、個人の事情に応じて負担を軽減しています。
以下、読点を打つと読みやすくなるケースを、例文で示します。
<主語や述語が長いとき>
家族を養っている納税者の負担を軽くする扶養制度は、個人の事情に応じて負担を軽減するものです。
扶養控除とは、家族を養っている納税者の負担を軽くする制度です。
<接続詞や逆説の助詞の後>
扶養控除とは家族を養っている納税者の負担を軽くする制度だが、近年さまざまな点から見直しが検討されている。
同じ年収でも扶養する家族がいる人といない人とでは生活費が異なるため、個人の事情に応じて負担を軽減しています。
<複数の語句を並べるとき>
新卒社員に必要なのは、社会人としての心構え、ビジネスマナー、コミュニケーションスキル、仕事の進め方です。
<意味を強調させたいとき>
Aさんが、その問題を解決した。
<ひらがなや漢字などが続いて読みにくいとき>
新人に理解してもらえるよう、わかりやすい説明を心がけています。
アイデム大学は、内部調査委員会を設置し、内部調査を開始しました。
<時間や場面や話が変わるとき>
資料を確認したところ、不備が見つかった。
若手の早期離職は、企業にとって深刻な課題です。では、なぜ早期離職は起きてしまうのでしょうか。
・打つかどうか、迷ったら?
読点は読みやすくしたり、意味を正確に伝えたりするために打つものですが、明確なルールは決まっていません。そのため、どこに打てばよいのかわからなかったり、打つか打たないかの判断がつきにくかったりします。迷ったら声に出して読んで、打ったほうが「読みやすくなるか?」「わかりやすくなるか?」を考えてみましょう。
読みやすくするための読点は、文の流れやリズムを考えて打ってもよいでしょう。話をするときに間をとったり、息継ぎをしたりすると思いますが、それと同じようなものです。
●文/三宅航太
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。