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ビジネスで使える心理学/菊原智明

【第19回】お客さまとの距離を一気に縮める「自己開示」

商談や接客時など、ビジネスシーンに応用できる心理学の知識を解説します。

自己開示とは?

 自己開示とは、自分についての個人的な情報を率直にありのまま、相手に伝えることを言います。 この自己開示には、自己開示をされた受け手も同程度の自己開示をするという、返報性のルール(人は他人から何らかの施しをしてもらうと、お返しをしなければならないという心理)があることが知られています。
 自己開示は、対人関係および組織内コミュニケーションの活性化を図る上でも、重要な要素の1つとなっています。


・解説

 私は職業柄、いろいろな人とお会いさせていただきます。研修、大学、パーティー、飲み会など。つくづくいろいろな人がいるものだといつも感心させられます。その中で《いい感じだな》という人もいれば、《この人はちょっと》と思う人もいます。

 以前、飲み会で男性(以下A)と隣同士になったときのことです。名刺交換と簡単なあいさつをした直後、Aさんはこんな話をしてきました。

「実はうちの会社、危ないんですよ」
「危ないと言いますと?」
「ここだけの話ですが、今年はボーナスゼロが決定しました。来年は倒産するんじゃないかと思っています」

 私は《初対面の私になんでこんな話をするんだろう?》と不思議な感じを受けました。その後もAさんは話をしてきました。

「私と合わない課長がいましてね、やっとのことで左遷になったんですよ」

 どう返事をしていいのか困る話ばかりでした。その後、別の男性(以下B)とお話をさせていただきました。その方も非常にフランクでした。

B「私には6歳と3歳の娘がいましてね」
「私も7歳の娘がいます」
B「そうですか。パパなんか見向きもしないでしょ?」
「いえ、うちはまだパパっ子でして」
B「うらやましい。うちは上の子はもちろん、下の娘にまでさけられます」

 家族の話から始まり、その後いろいろな話で盛り上がりました。
 2人ともフランクで自己開示をしてくれました。しかしAさんは会社や人の愚痴ばかりです。一方、Bさんは自分自身のちょっと恥ずかしい自己開示をしてくれました。私はBさんに好印象を持ちました。

 仕事の話だけでは、お客さまと仲良くなることはできません。出会った人との距離を縮めるためにも、自己開示は必要です。ただし自己開示は自分の会社や上司の話ではなく、自分自身の話をしましょう。





菊原智明
●営業コンサルタント。大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し、営業部に配属。「口ベタ」「あがり症」に悩み、7年間、苦しい営業マン時代を過ごす。その後、それまでの営業活動の間違いに気づいてやり方を大きく変えたところ、成績がみるみる上がり4年連続トップ営業マンに。自分と同じように営業に悩んでいる人たちをサポートしたいとの思いから、2006年に独立。著者に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『トップ営業マンのルール』(明日香出版社)、『面接ではウソをつけ』(星海社新書)など多数。 
http://www.tuki1.net/

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