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ビジネスで使える心理学/菊原智明

【第29回】違いを明確に示すための「リフレーミング」

商談や接客時など、ビジネスシーンに応用できる心理学の知識を解説します。

リフレーミングとは?

 リフレーミングとは、ある枠組みで捉えられている物事の枠組みをはずして、違う枠組みで見ることをいいます。同じ物事でも人によって見方や感じ方が異なり、ある角度で見たら長所になり、また短所にもなるということです。


●解説

 プラス思考の説明のときに、コップに残っている水の話がよく取り上げられます。水が半分入っているのを見て、ある人は「まだ半分もある」、別の人は「もう半分しかない」と言います。
 例えば、得意科目の試験で回答も見直しも終わってしまい、残り時間が10分あった場合《まだ10分もある》と思うでしょう。逆に苦手な科目で難問と格闘している場合は、「あと10分しかない」と思います。
 このように受け取り方で物事が180度変わってしまう心理現象をリフレーミングといいます。

 営業に応用してみましょう。
 接客していたとき、私はこんな説明をしていました。
「当社の鉄骨の厚みは6ミリなんですよ」
お客さま「はぁ…」
 
 私自身は毎日その説明をしていますから、当たり前のように感じています。しかし《軽量鉄骨では6ミリは厚みがありしっかりしている》という、そんなマニアックなことを知っているお客さまが何人いるでしょうか?おそらく100人に1人か2人いればいい方です。

 6ミリを《厚くてしっかりしている》と思う人もいれば《そんなに薄くて大丈夫なのか?》と心配になる人もいます。こんな伝わらない説明でいい結果につながるわけがありません。

 また私は勘違いもしていました。新商品が出たときのことです。その建物は今までより坪単価が5〜8万円くらい安く、《これはお客さまの受けがいい》と思っていました。週末になりワクワクしながらその商品のトークをしました。

「先日新商品が出ましてね、坪単価も平均40万円台とかなりお得なんです!」
お客さま「へぇ…」
 その後も反応は全くといっていいほどよくありません。今から考えてみれば坪単価40万円台の建物なんてザラにあり、珍しいことでも何でもなかったのです。

 自己満足の説明でなく、工夫してみました。
「当社の建物は一般的に坪単価50万から55万円くらいが多いです。ただ全く同じ内容で坪単価を40万円台にすることも可能です」
お客さま「どんな方法ですか?」
 対比する商品を説明するようになってから興味を持ってくれるお客さまは増えました。

 《自社の商品が一番すぐれている》《値段も安くてお得だ》と思って説明したのにお客さまが食いついてこないと感じている方は、独りよがりの説明になっていないかチェックして下さい。
 自分はお得だと思っていてもお客さまには伝わらないときもよくあります。対比や補足説明をしてしっかり伝わる工夫をしましょう。 





菊原智明●営業コンサルタント/関東学園大学経済学部講師。大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し、営業部に配属。7年間のダメ営業マンから4年連続トップ営業マンへ。現在は【訪問しないで売る】営業コンサルタントと大学で学生に向け【営業の授業】をしている。著書に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『トップ営業マンのルール』(アスカビジネス)など多数。
http://www.tuki1.net/

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