社内コミュニケーションに「説得力」を加えるための3冊
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
こんにちは、土井英司です。このコーナーでは、毎回テーマを決めて1テーマにつき3冊の関連書をご紹介しています。
今月は、社内コミュニケーションに「説得力」を加えるためのおすすめ本3冊をご紹介。書類の作り方、売上を創るための考え方、プレゼンの仕方…。ただ言われたままに「作業」する社員ではなく、結果にこだわる社員を作るために、組織が教えられることをまとめてみました。
まず1冊目は、経営者マインドを身につけさせるための、書類作りの本。『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』は、ソフトバンク・孫正義氏から薫陶を受けたという著者、三木雄信さんが、経営トップを口説くための書類の作り方を指南した1冊。
★世界のトップを10秒で納得させる資料の法則(三木雄信 著/東洋経済新報社/定価1,620円)
業務処理報告書、売上報告書、要因分析レポート、プロジェクトマネジメント型会議議事録、プロジェクトマネジメントシート、パレート図、回帰分析、プロセス分析シート、プレゼンテーション、企画書といった10種類の資料を、どう作れば経営トップに認められるか、詳しく説明しています。
「真実を見るための方法は、累積のマジックを起こさせないこと」「時間的な流れの中で業務を処理する場合には、ある週に起きていることだけを取り出した群管理が不可欠」「実績の合計値は出ているが、取引先ごとの構成比がわからないのも、 売上報告書としては致命的な欠点」など、書類の作り方に関して細かなアドバイスがあるほか、書類ごとに作り方のポイントがまとめられています。例として、売上報告書「表現のポイント」を見てみましょう。
◆売上報告書 表現のポイント1.売上を継続性の観点で分けて認識する2.将来予想ができるよう、棒グラフで時系列の変化を見る3.パーセントと実数の両方を入れる4.基本はワンスライド・ワンメッセージで表現する5.数字のつまみ食いは禁止。合計の数字を必ず出す
経営者目線で資料作りができる社員を育てるために、ぜひ押さえておきたい1冊です。 続く2冊目は、『外資系投資銀行のエクセル仕事術』。ボストン大学卒業後、モルガン・スタンレー証券投資銀行本部に入社し、大型M&Aや資金調達プロジェクトをリード、 現在は個人向けエクセルセミナーを主催しているという熊野整さんが、エクセルを使った収益シミュレーションを指南した1冊です。
★外資系投資銀行のエクセル仕事術(熊野整 著/ダイヤモンド社/定価1,836円)
これまでにもビジネスマン向けのエクセル本、数字に強くなる系の本をたくさん紹介してきましたが、究極、ビジネスマンにとって大事な数字力とは、「儲かるか、儲からないか」を判断する力。本書は、この「儲かるか、儲からないか」を、エクセルを使ってシミュレーションする方法を説いており、新人教育の手段としておすすめです。ミスを防ぐきれいなフォーマットに始まり、記入のルール、作業を効率化するショートカットキーの使い方、シミュレーションモデルの作り方まで、これ1冊で学べます。シミュレーションは、「普通ケース」「楽観ケース」「悲観ケース」の3パターンを計算するという、ごくごくベーシックなものですが、 新人教育用と考えると、これで十分でしょう。
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●土井英司(どい えいじ)出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。http://eliesbook.co.jp/bbm
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