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労働関連法で実務に直結した部分をクローズアップし、分かりにくい点や対応策などを解説します。
前回、「労働時間の適正な管理運用」と題し、『管理の対象者』及び『労働時間の定義と具体例』について触れました。今回は『労働時間の適正な把握方法』について、「労働時間の適正な把握のために会社が対応すべきガイドライン」(平成29年1月厚生労働省)に照らし、実務運用のポイントをまとめてみました。
労働時間の適正な把握のため、使用者(会社)には、まず次のことが求められます。
(1)始業・終業時刻の確認・記録
・労働日ごとの始業・終業時刻を確認し記録すること
・労働時間の管理方法は、原則「使用者(会社)が確認し記録する」または「タイムカード、ICカード、パソコンの起動・終了時刻の記録等」のいずれか客観的な記録による
従って、労働時間の管理を自己申告制で行う場合は、あくまで例外と位置付けられます。自己申告制については、実際に不適正な運用に伴って過重労働等の問題が生じやすく、ブラック企業の温床となっている指摘もあります。導入の際、次の措置をとるよう同ガイドラインで示されています。
(2)制度の説明
・制度導入前、労働者に対して労働時間を正しく記録し、適正な自己申告を行うことなどにつき、十分な説明を行うこと
・労働時間の管理者に対し、制度の適正な運用を含めた措置につき十分な説明を行うこと
(3)実態調査の実施
・自己申告した内容と実際の労働時間が合致しているか、必要に応じて調査し、補正すること
・自己申告した時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかを確認すること
(4)適正な申告の阻害要因排除
・労働時間の適正な申告を阻害する目的で、時間外労働時間数に上限を設定するなど不適正な運用をしないこと
昨年4〜 9月に労基署が10,059事業場に対し、重点監督を実施した結果、6,659事業場(66.2%)で法令違反がありました。その際、1,189事業場(11.8%)について、「労働時間適正把握に係る指導」がなされています(厚労省/平成29年1月公表)。
今後も、ガイドラインに沿った行政指導が行われることを念頭に、自社の労働時間の適正な管理に活かすことが重要です。
●文/田代英治(たしろ えいじ)
社会保険労務士。株式会社田代コンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部卒。企業の人事制度の構築や運用、人材教育などに取り組む。著書に「人事部ガイド」(労働開発研究会)、専門誌への寄稿など執筆実績多数。
http://tashiro-sr.com/
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