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実務で役立つ労働法/田代英治

第17回 改正労働者派遣法の実務運用(2)〜平成30年9月30日以降〜

労働関連法で実務に直結した部分をクローズアップし、分かりにくい点や対応策などを解説します。(2018年8月1日)

 改正法により派遣期間の制限が3年となり、平成30年9月30日以降、順次期間制限を迎えます。前回に続き、改正法にのっとった実務運用上のポイントを整理します。

 

 

<派遣事業のルール変更>
 労働者派遣事業は許可制へ1本化されます。それに伴い、平成30年9月30日以降、許可を受けていない旧特定労働者派遣事業を行う事業主(平成30年9月29日までの経過措置あり)から派遣労働者を継続して受け入れると、無許可事業主の派遣受け入れとなり、法違反となります。

 

 

<クーリング期間>
 期間制限の通算期間がリセットされる空白期間(クーリング期間)は「3カ月超」(3カ月と1日以上)です。しかし、派遣可能期間の延長手続き回避を目的にクーリング期間を利用することは派遣法の趣旨に反し、行政指導の対象となります。

 

 

 

 

<労働契約申込みみなし制度と留意点>
 平成27年10月1日以降、派遣先が違法な受け入れをした場合、その時点で、派遣先は派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一内容の労働契約を結んだものとみなされます(善意無過失の場合を除く)。
また、同みなし制度の適用となり、実際に労働契約を締結するには、派遣先は違法な労働者派遣が終了した日から1年経過する日までの間に、派遣労働者から契約申し込みの承諾を得る必要があります。

 

●同みなし制度の対象となる違法派遣
(1)派遣禁止業務(港湾運送、建設、警備、病院の医療関連)に従事させた場合
(2)無許可の事業主から受け入れた場合
(3)期間制限に違反して受け入れた場合
(4)派遣法等の規定適用を免れる目的で行われるいわゆる偽装請負の場合

 

 

<その他>
 派遣先で労働者を募集する場合、一定の要件に該当する派遣労働者に対し、募集情報の提供義務があります。また、雇用安定措置として派遣労働者の直接雇用に向け、真摯な検討に努めることとされています。派遣先、派遣元では改正法の主な内容について実務運用を確認することが重要です。厚労省で参考資料やQ&Aなどをまとめていますので、ご参照ください。
平成27年労働者派遣法の改正について(厚労省)

 


 

 

●文/田代英治(たしろ えいじ)
社会保険労務士。株式会社田代コンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部卒。企業の人事制度の構築や運用、人材教育などに取り組む。著書に「人事部ガイド」(労働開発研究会)、専門誌への寄稿など執筆実績多数。
http://tashiro-sr.com/

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