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【現場に学ぶ】繁盛企業のマネジメント/岡本文宏

【2事例】スタッフが自ら考える癖をつける方法

著者が実際に見聞きした事例をもとに、人の定着や戦力化などに関する取り組み方法や解決策などをお伝えします。(2025年11月4日)

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 トップダウンでマネジメントを行うと、スピーディーに組織をまとめることができます。筆者がかつて加盟していたフランチャイズチェーンでは、当時の会長が本部の会議で伝えた指示が、数時間後に全国にある店舗の現場で実行されるという組織でした。そうなると、カリスマ的な存在のリーダーが組織を率いているときはまとまりもあり、業績は右肩上がりを維持することができます。

 ただ、カリスマリーダーが退任するなどして、不在になったときに、指揮者のいないオーケストラのようにバラバラになり、業績が次第に低迷することになります。
 原因は、言われたことをただこなすだけの指示待ち組織になっているからです。強い組織となり、業績を上げ続けるには、メンバー各自が自分で考えて行動できる習慣を身につけることが必要です。





【大阪・洋菓子店】メンバーの発表に突っ込みを入れる

 指示命令ではなく、「質問」を主体とするマネジメントを行うと、自分で考え、行動するスタッフに育ちます。例えば、個別ミーティングの場で、上司はアドバイスや自分の考え、武勇伝を話してしまいがちですが、本来は部下の考えていることや現状を把握するために、部下の話をしっかり聞くための時間です。その際、原則として上司は、ミーティングの時間の8割を聞き役に徹することに使いましょう。その際、単に聞いているだけではなく、質問をすると部下は自分で考える癖がつきます。質問をされると答えを探そうと、情報キャッチのセンサーが駆動し始めるからです。

 自分で考える機会を作る機会として、朝礼を有効活用しましょう。朝礼の時間は、その日の注意事項や伝達事項を伝えるだけに費やさず、各自の目標、やるべきことを明確にする時間にします。ただし、目標を発表しただけで行動につながらず、そのことが形骸化しているケースも多々あります。大阪(箕面市)の洋菓子店では、朝礼でメンバーが発表したことに対して、周りから突っ込みを入れて、深堀りすることをルールとしています。

 例えば、その日の目標として、「すべてのお客様に笑顔で接客します!」と発表したスタッフに対して「笑顔で接客する際に意識するべきことは何ですか?」という具合に突っ込みを入れるということです。そうすれば、具体的に「どう行動すれば目標を達成できるのか?」が明確になり、行動が促進されます。
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●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『仕事のできる人を「辞めさせない」15分マネジメント術』(WAVE出版)、『人材マネジメント一問一答』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/
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