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こころの守り方〜医療従事者のメンタルケアに学ぶ〜/吉村園子

カスハラ対応の秘訣〜いびき問題から見えること〜

医療従事者は職業柄、高いストレスを抱えています。そのため、医療現場では積極的に心の健康を保つ取り組みを行っています。医療現場のメンタルケアを解説します。(2026年3月5日)

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 カスタマーハラスメント(以下カスハラ)という言葉をご存知でしょうか?
 顧客からの理不尽な要求や、過度な言動によって、働く人が精神的・身体的な負担を受ける行為を指します。近年、この言葉はニュースなどでも多く取り上げられるようになりました。今年(2026年)の10月1日から「労働施策総合推進法」の改正により、カスハラの防止対策が国内すべての企業(従業員1名以上)に義務化されます。

 医療現場では、医療従事者が患者さんから厳しい言葉を受けることが少なくありません。今回はカスハラをテーマに、医療従事者たちは患者さんのクレームにどう向き合っているのか、正当なクレームとカスハラの境界線をどう見極めるか、などについて具体事例を交えてお伝えします。





医療現場は、感情が大きく揺れ動く場所

 入院中の患者さんは病状により、強い不安や焦りを抱えやすい状態です。普段は穏やかな人であっても、感情が大きく揺れ動くことは珍しくありません。私が医療現場で働いていたころも、患者さんからの強い言葉や要望に向き合う場面は多々ありました。

 例えば、長期入院している患者さん。入院当初は会社の同僚や家族がお見舞いに来ていたものの、次第に足が遠のいていく。仕事から離れることで自分のキャリアに対する焦りや生活費・入院費の不安など、「この先、自分はどうなるのだろう」といった思いが、心の奥に積み重なっていきます。そのような中で小さな出来事がきっかけとなり、医療従事者に強い言葉をつかったり、過大な要求を訴えたりすることがあります。
こうした状況は医療現場だけでなく、ビジネスの現場でもあるのではないでしょうか?

 病気やケガをしていなくても、人は日常の中で不安や焦り、期待や落胆など、さまざまな感情を抱えています。ほんのささいな行き違いや言動がきっかけとなって感情が表に出てしまい、カスハラへと発展してしまうケースは少なくありません。


病棟で多発する「いびき」問題

 病棟でよくあるクレームの1つに、いびきの問題があります。患者さんが「隣の人のいびきがうるさくて眠れない!」と訴えてくることです。眠れない状態が続くことは、体力の回復を妨げ、治療にも影響します。そのため医療現場では、まず「眠れないのはつらいですよね」と、患者さんに向き合います。

 一方、いびきをかいている側も、わざといびきをかいているわけではありません。いびきがうるさいと訴えた患者さんに事実を丁寧に確認し、状況に応じて病室の調整を検討したり、耳栓の使用を提案したりすることもあります。ただし、すべての要望を無条件に受け入れるわけではありません。
その際に「緊急性が生じた場合には、病状や治療を最優先し、病床の移動が行われる可能性がある」ことを必ず伝えます。入院の目的はあくまでも治療であり、病床は「快適さ」ではなく「医療上の必要性や緊急性」で使われます。この前提を、患者さんにもお伝えします。
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●文/吉村園子(よしむら そのこ)
株式会社Tree代表取締役、心理学の学校Tree代表理事、上級心理カウンセラー、行動心理士、米国NLP協会認定NLPプラクティショナー
独自のカウンセリングメソッドを活かし、「上からでも下からでもなく、横からそっと心に寄り添う」をモットーに活動を行っている。心理学セミナーやグループコンサルを年間200回以上実施、個別のカウンセリングやコンサルティングは延べ3000人以上を数える。著書に『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』(三笠書房)、『40年間おデブだった私がリバウンドなくスッキリ-13kgやせた!!マインドフルネスダイエット』(主婦の友社)。
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