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採用した外国人スタッフに定着して、戦力として活躍してもらうために、企業が準備すべきことや、考えておかなければならないことなどを解説します。(2020年7月27日)
対象が国内の外国人留学生でも、海外の技能実習生や高度人材でも、外国人を採用した企業が共通して不安視することの1つが、外国人材とのコミュニケーションです。弊社は主に入社後の外国人スタッフと日本人スタッフとのコミュニケーションに関する支援事業を行っており、毎月、多くの企業に対して、研修やコンサルティングサービスを提供しています。
これらの事業の中で、いつも思うことがあります。それは、企業のみなさんは「外国人の日本語」を見直そうとしても、ご自身の日本語を見直すことはあまりないということです。
日本人の日本語を見直す意味
こういう言い方をすると、「何をいまさら」とお考えの方もいらっしゃると思います。そう感じるのは無理もありません。みなさんは、日本語が母語だからです。日本語が母語というのはどういうことかというと、特に意識しないで、ほぼ問題なく日本語を自由に使いこなせるということです。
裏を返すと、みなさんは幼少時にマスターしたご自身の日本語について、意識したことがほとんどありません。外国語として、日本語を見つめたこともほとんどありません。ですから、他の言語と比べて日本語がどういう特性を持っていて、どういうところにリスクがあるのか、よく分からないまま日本語でコミュニケーションをとっています。
しかし、コミュニケーションは双方向です。多くの日本企業が「日本語がペラペラな外国人」を求めていますが、外国人の日本語だけでオフィスのコミュニケーションが成立することはありえないでしょう。もちろん日本語ネイティブの(日本人の)みなさんの日本語も、お互いのコミュニケーションの質に深く関わっています。
もしみなさんが、入社後の外国人スタッフとのコミュニケーションに不安を感じているなら、あるいは入社後の外国人スタッフとのコミュニケーションをさらに向上させて業務効率を高め、良好な人間関係を構築したいと考えているなら、まずはご自身の日本語について見直すことをおすすめします。
日本語は省エネ言語
一般に、日本語は世界の他の言語と比べ、文脈依存度が高い(ハイ-コンテクスト)とされています。これは、日本語という言語が、言葉を尽くして丁寧に細かく説明しなくても、やりとりとして成立するということを意味しています。日本語という言語は、あいまいな表現を用いても、お互いのやりとりが成立しやすい言語であり、これは実際のコミュニケーションにおいても同様です。
言い換えるなら、話者(話す人)側が、自分の考えている意味をはっきり示さなくても、その会話自体は成立しやすいということになります。日本語は、少ないガソリンで長く走行する日本車と同様、言葉を尽くさずともコミュニケーション自体が成立しやすいことから、省エネ言語と言ってもいいでしょう。
例えば、上司が部下に「来週の水曜日の件、よろしくね」と言ったとします。この日本語は、日本語の文法的に間違いはなく、いわばネイティブ(母語話者)らしい、完璧な日本語です。おかしい日本語だとはいえません。しかし同時に、一部の読者の方は、違和感を感じているはずです。それは聞き手にとって、「よろしく」の内容(指示内容)が分からない可能性があるからです。
この例が興味深いのは、話者(ここでは上司)自身にとっては「よろしく」の意味がはっきりしていても、聞き手にとっては、意味がまるで分からない可能性があり、かつ、コミュニケーションの形式としては成立している点です。ということは、日本語のコミュニケーションはその特性上、誰に負担がかかりやすいかというと、圧倒的に聞き手側だということになります。
企業で行われる社内業務のやりとりのうち、その多くは、指示をする(話者)側が上司で、聞き手が部下というケースでしょう。ですから上司にあたるみなさんは、たとえみなさんに悪意がなかったとしても、日本語という省エネ言語の特性上、自分の指示が、そもそも聞き手にとって、分かりにくいかもしれないということを、どうか忘れないでください。
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●文/淺海一郎(あさみ いちろう)
内定ブリッジ株式会社代表。大手進学塾にて主に難関校を受験する子女の国語科教育を10年行い(実績約1,400名)、2009年に日本語教育業界へ転向。留学生や国内外の外国人会社員、会社役員へ日本語コミュニケーション教育を行う(実績約1,000名、国籍数61カ国)。現在は日本語教育事業に加え、年間で約40カ国500名の欧米、アジア圏人財への就労支援の他、社内教育や就労支援の現場で集めた多国籍の人財の声を、留学生教育機関(海外大学、国内大学等)や企業の皆様に、講演やセミナー、コンサルティングという形で届けている。
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