人材育成や評価、意思決定など、マネジャーにはさまざまな役割が求められます。マネジャーに必要な視点や考え方、心の持ち方などについて考察します。(2022年6月23日)
Z世代が社会人になってきた
Z世代とは、一般的には1990年代後半から2012年ごろに生まれた世代を指しており、現時点で20代前半から10歳前後の間の人が該当します。この世代は、物心ついた頃にはすでに先端的なテクノロジーやデジタル技術に触れているため、IT分野との親和性が高い世代だといわれます。
ちなみに、Z世代という言葉の発祥はアメリカで、もともと1960年から70年代に生まれた人を指す言葉として「X世代(Generation X)」という言葉が用いられ、Xの次に来るのがYであるため、1980年〜1994年ごろに生まれた世代が「Y世代(GenerationY)」、さらに次が「Z世代(GenerationZ)」と呼ばれるようになったのです。
さて、このZ世代ですが、ここ数年、社会人としてビジネスの世界に入ってきました。その結果、管理職の方たちから、「Z世代の扱い方が分からない」「Z世代部下のマネジメントはどうすればいいのか?」という質問も出てくるようになってきています。今回は、Z世代のマネジメントについて、みなさんと考えていきましょう。
以下に、Z世代の社会人としての特徴について、入手した多くの情報から整理しておきます。
■安定志向が強い一方で、転職に対する抵抗は少ない。仕事よりプライベート・家庭を優先する。
■多様性に対する考え方・知識・感覚が自然に身についている。出る杭にはなりたくないが、自分らしさは追及したい。オープンでフラットなコミュニケーションを好む。
■指示されたことは素直に従うが、指示以上のことはやらない。自分基準で相手の意図がくみ取れない。承認欲求が強く、周りの目を気にする。答え探しの傾向が強い。
特徴の背景などを補足説明すると、Z世代は、デジタル技術と密接なソーシャルネイティブで、SNSなどが当たり前のコミュニケーションツールの世代なので、「面白いと思ったことや感動したことを共有したい。自分の考えや行動を多くの人に受け入れてほしい」という思いが強いがゆえに、必要以上に周りの目を気にするのだと思われます。
また、個を尊重する世代なので、上下関係の強要や上司や先輩からの高圧的な態度を嫌い、精神論や理不尽な要求にはあからさまな拒絶態度も示します。
分からないこと・知りたいこと・確認したいことがあれば、ネットですぐに検索し、効率性を重視し、最短時間・最短距離で正解を探そうとすることから、答え探し傾向が強くなっているのでしょう。ビジネスは正解などない世界ですから、白黒つかないグレーゾーンに悩んだりもするわけです。
●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。