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どんなに優秀な人を採用しても、すぐに辞められてしまったら意味がありません。定着率は働きやすさを測る指標であり、会社の生産性を左右します。(2022年7月12日)
先日、あるチェーン店の複数の店舗を、訪問することがありました。そのときに残念に思ったことがあります。それは、誰一人として、楽しそうに仕事をしているスタッフがおらず、暗い顔つきで作業を黙々とこなしているように見えたことです。その店のスタッフと話をする機会もあったのですが、共通して覇気がなく、仕事に対する意欲が感じられませんでした。一方、見るからにスタッフが、楽しそうに仕事をしている職場もあります。
前者、後者の違いはどこで生まれるのでしょうか?
それは、スタッフが働いていて、「うれしい」「楽しい」と感じる機会の有無です。もちろん、どちらの職場でも、仕事をしていて「しんどいな」とか「つらいな」「面倒だな」と感じることもあるでしょう。でも、イキイキと仕事をしている職場では、ネガティブに感じることよりも、働いていて、スタッフが「うれしい!」「楽しい!」と感じる機会が圧倒的に多いのです。当然ですが、後者のような職場の定着率は高くなります。
「うれしい」「楽しい」は脳内物質による作用
どんなときに、スタッフは楽しいと感じるのでしょうか? 例えば、自分で立てた目標をクリアしたとき。予想したとおりに売上を作ることができたときなどは素直にうれしいですし、仕事をするのが楽しいと思えるでしょう。
目標をクリアしたり、何かを成し遂げたときには、脳内に「ドーパミン」という物質が分泌されます。ドーパミンは快感ホルモンと呼ばれています。「うれしい」「楽しい」と感じるのは、このホルモン分泌による作用だと言われています。「ここでずっと働き続けたい」とスタッフに思ってもらうには、スタッフの脳内に、ドーパミンが出る仕掛けを作ることが必要です。
そのためには、スタッフの仕事の成果や目標を「クリアできたかどうか」が、すぐに分かるようにすることが不可欠です。「数字」を使うのが効果的でしょう。営業や販売職であれば、売上目標を決めて、その達成率を見れば結果は一目瞭然です。
ただ、スーパーのレジ担当やバックオフィスの業務に携わるスタッフについては、数字で成果を表せない場合も多くあります。そういう場合は次の事例を参考にしてみてください。
私がセブンイレブンのFC店を開業した当時、チェーンとして接客に力を入れようという動きがありました。各店、接客レベルの向上を目指し、さまざまな取り組みを行っていましたが、店舗オーナーや本部がいくら号令をかけても、なかなか成果が出ませんでした。そこで、私の店ではお客さまから「ありがとう」と言われた回数をカウントして、その数をスタッフ間で競うレースを始めました。成績上位のスタッフには表彰状とちょっとした副賞も用意しました。結果的に、店の接客レベルはグンと上がり、業績もアップしました。
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●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『人材マネジメント一問一答』(商業界)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/
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