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職場のメンタルヘルス/河田俊男

第11回「迷惑な同僚の正体」

職場にはさまざま人がいます。2つの事例を題材に、職場にいる迷惑な人の対処法を考えます。

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 職場にはさまざまな変わった人がいる。例えば、空気が読めない人、話がかみ合わない人、価値観が合わない人、無口な人、すぐにキレる人だ。中でも、仕事にさしさわる人は周囲の人々が本当に迷惑する。



身近にいる迷惑な人

<ケースA>
 ある職場で、上司が部下に掃除を頼んだ。

上司「悪いけど、外の掃除をしてもらえないか」

部下「え〜? 予報では風が強いそうです。掃除しても無駄なんじゃないですか。風で汚れが飛んでくるので。どうして、そんな無駄なことを私にさせるんですか?」

上司「いや〜、いつもイベントのあとはきれいに掃除をするからね」

部下「ですから、今日は風が強いので…。そんなことをさせるのは、職場いじめじゃないですか?」

 以上のようなやりとりを部下とした上司から、「この部下はどんな人でしょうか。まったく理解できません」という問い合わせがあった。


<ケースB>
 ある福祉関連施設で、慶子さんは美樹さんと2人でチームを組んで仕事している。美樹さんは必ずといっていいほどミスをするので、慶子さんはストレスを抱えている。美樹さんは毎日、利用者のおむつ替えを忘れるのだ。そのことは、交代した夜勤チームに指摘される。チームの責任なので、慶子さんは美樹さんのミスを気にしたり、フォローするのに疲れきってしまった。

 慶子さんは美樹さんに「これからおむつ替えを忘れないでください」と言っても、彼女は「忘れたことはありません。ミスはしていません」と言う。それから黙り込んでしまい、数日間話さなくなってしまうのだ。

 また、施設のほうから新しい仕事上の指示があったとき、美樹さんは「分かりました」と言うが、そのことを一切やらない。そこで上司が注意すると、「聞いていませんでした。そんな説明は受けていません」と言う。「いや、しっかり説明しましたよ」と上司が言うと、「なんで、分かるように説明しないのですか」と言って黙ってしまう。

 美樹さんは日頃は「はい、はい」と笑顔で返事をする、「とても感じのいい人」という印象を与える。しかし、自分の思ったようにしか仕事はしないし、指示、命令されたことはやらない。そして都合が悪くなると、黙って下を向いてしまう。



迷惑な人への対処

 ケースAの場合、仕事の命令は毅然と行うことが大切なのだろう。命令の意味が分からない場合には、しっかり説明することだ。例えば、雪が降ったら店の前の雪かきをする。「なぜ、やるのか」を説明する必要がある。それは、店に来るお客さまが安全に歩けるようにするためだ。

 仕事内容の理由をしっかり説明しないと、理解できないタイプの人がいる。また、自分の価値観で仕事内容を判断しようとする場合があるので、一般社会の常識や会社の価値観を教育する必要がある。それも本人に理解しやすいようにだ。

 ケースBの場合は、仕事内容の確認を書面でチェックするような仕組みを作るなどして、漏れのないようにする工夫が必要だ。実際には行っていないのに、行ったように勘違いしてしまうことも、人間には起こりえる。必ずチェックし、確認を2人で行えばミスの少ない状態になる。

 また、美樹さんは軽い知的な問題、学習障害なども気になる。もし、ごく普通に仕事ができるなら、受動的攻撃的人格の問題も考えられる。表面的には気の弱そうな感じで、ペコペコお辞儀をしているが、人の話を聞かない、約束しても守らないという人格障害である。

 AとB、どちらのケースでも、うつ状態もまた考慮に入れておく必要がある。うつ病になると、考え方に変化が起きて、否定的、攻撃的になるので、とても注意が必要だ。


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●河田俊男
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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