報告書やメール、SNSでの発信など、ビジネスは文章を書く機会にあふれています。さまざまな目的に合わせて、伝わる文章を書くために必要なことを解説します。(2024年7月30日)
読みやすく、わかりやすい文章は2つの要素(見た目と内容)から成り立っています。前回に引き続き、読みやすそうに見せるテクニックを解説します。
(4)書体(フォント)の選び方
日本語の書体は大きく分けて、「明朝体」と「ゴシック体」があります。「明朝体」は読みやすく、「ゴシック体」は見やすいという特徴があります。
【明朝体】
長い文章を読み続けても疲れにくいため、新聞や書籍などで使われています。細さが読みやすさの肝なので、太くすると読みづらくなります。Webではかすれてしまうことがあるので(線に強弱があり、横線より縦線が太い)、Webの長文では使用しないことが一般的です。
【ゴシック体】
遠くから見ても判別しやすいため、印刷物ではタイトルや見出しなどによく使用されています。長い文章だと、紙媒体では読みづらくなります。Webでは文字がつぶれにくいので(線の太さがほぼ均一)、本文でもよく使われています(本コンテンツもゴシック体)。
(5)文字サイズ・文字組みの考え方
パソコンのワープロソフトで文章を作成する場合、文字のサイズや文字組みは最初から調整されているので、あまり気にする必要はありません。ですが、会議のレジュメ(内容を要約したもの)やプレゼン資料を作るときなどに、文字のサイズや文字組みを調整して見やすくしたり、読みやすくしたりすることができます。
【文字サイズ】
本文の文字サイズは、Webは14〜16px(Google推奨は16px)、印刷物(A4サイズ)は11〜12pt(11〜14Q)が一般的です※。同じサイズでも書体の種類や全体のバランス、文字量などによって見え方が変わることもあります。
※文字サイズの単位:px/主にWebサイト、pt、Q/主に印刷物
■参考(書体は同じ)
【文字組み】
文字組みとは、文章の配置を調整する作業です。行間(行と行の間隔)や字間(文字と文字の間隔)を整えて、見やすくしたり、読みやすくしたりします。
行間は狭いと、まとまった感じが出ますが、次の行頭を探しにくくなります。逆に広すぎると散漫な印象になり、視線の移動が激しくなるので読むのに疲れます。
字間は近すぎると、読みづらくなります。逆に広すぎると間が抜けたように見え、スムーズに文字を追えなくなります。
■参考(書体・文字サイズは同じ)
「読みやすさ」と「見やすさ」
2回に渡って読みやすそうに見せるテクニックを解説しましたが、目指すところは「できるだけ読み手のストレスを減らすこと」です。「読みにくそう」とか「難しそう」と思われないようにハードルを低くし、とっつきやすくすることです。
読みやすさとは「長文を疲れず、スムーズに読めること」です。例えば、字間や行間が狭すぎたり、難しい言葉が使われていたりすると読みづらくなります。
見やすさの要素は2つあります。1つは「ぱっと見た瞬間に文字を理解できたり、文章の意味をすぐに認識できたりすること」です。文字が細すぎたり、小さすぎたり、色が薄かったりすると見づらいでしょう。もう1つの要素は「間違って読まれないこと」です。例えば、「O(英語のオー)」と「0(数字のゼロ)」は混同しやすいです。また、「3」と「8」は、小さい文字だと読み間違える可能性があります。
次回は、読みやすく、わかりやすい文章のもう1つの要素である「内容」にフォーカスしたテクニックを解説します。
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●文/三宅航太(みやけ こおた)
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。