Z世代はやる気が見えない、積極性に乏しい…と思えることがあり、どのように関わればよいのか分からず、頭を抱えている経営者、上司は多いのではないでしょうか?
令和5年度に、こども家庭庁が実施した「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」(※)によると、『自分自身に満足しているか?』の設問に対して、「そう思う」と答えたのは、アメリカ44.7%、フランス34.9%に対して、日本の若者は21.1% でした。『今の自分が好きだ』の問いに「そう思う」と回答したのは、アメリカ38.1%、ドイツ33.7%で、日本はわずか17.5%でした。
※日本、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン(計5カ国) の 各国満13歳から満 29歳までの男女とする約1000人を対象とした調査
積極性の有無に関わる設問の『うまくいくか分からないことにも意欲的に取り組むか?』についても、アメリカとフランスの若者の35.8%が「そう思う」と答えているのに対して、日本の若者は13.4%でした。
働く上で大切にしたいこと
もう1つ、興味深い調査結果があるのでご紹介しておきましょう。ある求人関連企業が2023年に509人に対して行った「新入社員意識調査」によると、『社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?』の問いに対して、「何事にも率先して真剣に取り組む」と答えた人は、13.8%で、5年前に行った調査結果と比較すると3.8ポイント、10年前とは 8.4ポイントも低下していることが分かりました。
これらの調査結果から、今の若者は、自己肯定感が低く、積極性に乏しいことが分かります。自己肯定感とは、「自分は価値ある存在」「自分に満足できている」と思える状態にあって生まれる感覚です。自己肯定感が低いと自信を持つことができないので、物事に取り組むときに「自分にはできない」「うまくいかないのでは…」「おそらく無理だろう」と不安になり、諦めてしまいがちになります。そうなると、積極的な行動を取ることができなくなって当然です。
Z世代の部下のやる気に火をつけて、積極的に仕事に取り組むように促すには、彼、彼女たちの自己肯定感を高めることが近道です。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『仕事のできる人を「辞めさせない」15分マネジメント術』(WAVE出版)、『人材マネジメント一問一答』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
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