第12回 統計に強くなるためのコツ
政府や調査機関などが発表している労働関係の統計データを中心に、データの見方や、仕事に生かすやり方を解説します。
1.はじめに
このコラムでは、1年間にわたり、主に労働関連の統計データの見方や使い方について解説してきました。今回は、これまでのまとめとして、「統計に強くなるためのコツ」について述べたいと思います。
「統計」という言葉は、一般的に2つの意味で用いられています。1つは、“調査によって集計されたデータ”という意味での「統計」です。「労働力調査」で公表される完全失業率などが、これに該当します。もう1つは、“データを加工・分析する手法”という意味での「統計」です。例えば「平均値の算出」が、これに該当します。
そこで、「統計に強くなる」ためには、「(調査によって集計された)データを効率的に収集する」、そして「データを適切に加工・分析する」という2つの技術をマスターすることが必要になります。
2.データを効率的に収集する技術をマスターする
近年、さまざまなデータがインターネットを通じて入手できるようになりました。便利になった反面、インターネットで公開されている情報の量が膨大になりすぎて、「自分が入手したいデータを見つけるまでに時間がかかる」などの不都合が生じています。
このような情報量の膨大化による不都合を避けるためには、「分析ニーズが生じたら、その都度、データを検索する」のではなく、「日ごろから定期的に統計に目を通して、仕事に関係があるデータを押さえておく」ことが必要です。
統計調査の中で定期的に目を通しておいていただきたいものに、厚生労働省が毎月発表する「月例労働経済報告」があります。この統計調査には、「一般経済」「雇用・失業」「賃金・労働時間」のポイントとなるデータがまとめて掲載されています。データ(数字)以外にも簡単なコメントが書いてありますから、それを読み続けているうちに、データの動きの意味するところが分かるようになります。
また、「月例労働経済報告」に目を通している中で、自分が気になるデータがあったら、そのデータの情報源(「毎月勤労統計調査」等)をチェックするように心がけましょう。これを何回か繰り返すと、仕事に関係があるデータが掲載されている統計調査の名称とインターネット上の掲載場所を覚えて、データ収集の効率性が飛躍的に高まります。
「月例労働経済報告」は、12ページくらいのレポートで、厚生労働省のウェブサイトから閲覧できます。毎月25日ごろ公表されますので、是非チェックするようにしてください。
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●深瀬勝範(ふかせ かつのり)
Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ−タ活用術」(労務行政)。
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