第35回「クラッシャー上司」
職場のメンタルヘルスに関する事例・対策などについて、専門家が解説します。
能力の低い上司のもとで働くと、まるで未来を失ったように思える。運が悪かっただけではすまされない。人によってはうつ病にもなる。不運にも、そんな上司に遭遇したらあなたはどうしますか?
燃え尽きた女
美奈子は39歳。うつ病で休職して3カ月になるが、期間延長を人事部に申し入れた。美奈子は「燃え尽きた感じがします。このまま今の仕事をしていても、自分の成長や自信につながらないんです」と言う。
彼女はIT関連企業で精密機器やカメラ、パソコンなどの海外向けのマニュアルを制作する部門で仕事をしていた。その部門に最も長く在籍しており、上司と打ち合わせる機会も多かった。
上司は、2年前にまったく違う部門から配属されてきた。彼女がうつ病になったのは、その上司が原因だった。
恐ろしいクラッシャー上司
近年、部下をうつに追い込むクラッシャー上司が問題化している。彼らは部下に屈辱的な態度をとったり、いつも自分を正当化して他人のあら探しばかりをする。
具体的には、部下に意見を聞くふりをして、部下が意見を言うとすぐに否定する。部下が体調不良を訴え、早退を申し出ると「そうか。あの仕事はどうなっているんだ」などと言って、まったく取り合わない。過去に起きた失敗をいつまでも蒸し返し、部下にプレッシャーをかけ続けるのだ。
ある日、美奈子は上司に意見を求めた。美奈子は上司の意見を聞き、「そのとおり作業いたします」と答えた。すると、「そんなことでいいと思っているのか!」と言われた。
実はその上司もかつて、部下からこうした態度の問題を指摘されてうつ病になり、休職と復職を繰り返してきた。そんな経緯があり、会社の基幹部門ではない美奈子の部署の異動してきたのだ。
<メンタルヘルス豆知識>
クラッシャー上司とは、日本の研究者が命名したゆがんだ上司像である。気分の浮き沈みが激しく、部下のミスを執拗に責め、暴言を吐いたりして部下をうつ病にして休職に追い込む上司のことだ。人格的に未成熟で、そのくせプライドが極めて高く、その反面精神的に傷つきやすく、気が小さい。
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●河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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