「人材の活用」「従業員の教育」「人事制度」等について、事例満載の記事や専門知識が深まるコラム等を展開。自社の活性化や雇用管理のヒントに!

「経営者やパート従業員の意識」等について、さまざまなデータを作成。労働市場の現状が分かります。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

「平均時給 の検索」「時給の平均や動向」等について、データを作成。労働市場の現状が分かります。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

アイデム人と仕事研究所では、「ビジネスマナーのブラッシュアップ」「新入社員の戦力化」「職種別・階層別の知識・スキルアップ」等につながるセミナーを開催しています。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

職場のメンタルヘルス/河田俊男

第44回「カルト教団に勧誘された女」

職場のメンタルヘルスに関する事例・対策などについて、専門家が解説します。

< 1 2 >
 時折、テレビでカルト教団のニュースを見る。最近、アメリカのカルト的な教団で殺人事件が起きた。私たちはこうしたカルトとはまったく関係ないと思っているが、果たしてそうだろうか。いつでも、どこにでもカルトのわなは潜んでいる。



部下からの相談


 啓太は、精密電子機器メーカーの係長をしている。ある日、会社を1週間休んでいる奈美から電話が入った。「会社では話せません。どうしても外で話を聞いてもらいたいんです」と、切実な相談だった。


 待ち合わせのハンバーガーショップに行くと、奈美は「新人の麻由に食事に誘われたんです。店に行くと占いの得意な友人を紹介され、恋愛や結婚運を占ってもらいました。それから、麻由の入っているサークルに誘われ、宗教的な話ばかり聞かされたので、次から食事の誘いを断ったんです。すると悪霊に襲われて次々に最悪なことが起こるとか、入会を断って交通事故で死んだ人もいた、なんて言われて怖くなって…」と話した。

 奈美は、それから眠れなくなり、会社に出社できなくなるほど、うつ状態になってしまったのだ。




ミイラ取りがミイラに!


 啓太は、麻由に事情を聞くことにした。奈美にどんな話をしたのか、知りたかったからだ。仕事が終わったあと、麻由に声をかけ、食事に行くことにした。まずは、仕事の近況を聞くためと偽った。

 1時間ほど仕事の話をした後、「奈美から少し話を聞いたんだけど、麻由さん、なんか宗教やっているんだって? それって、どんな宗教なの?」と、啓太は切り出した。

 麻由は21歳。若々しく、プロポーションもよく、とても魅力的で啓太の好みの女性だった。啓太は、麻由の宗教の話を熱心に聞いた。すると翌日、彼女に教団の書籍をプレゼントされた。それから2人で読書会をすることにした。2人は引かれあい、すぐに性的な関係になった。




カルトに狙われた会社


 その後、啓太は奈美から連絡を受けたが、麻由が彼女を脅したという話は信じなかった。啓太は教団の施設に出入りし始めると、講習や研修を受け、合宿にも参加するようになった。彼は、麻由と一緒にその宗教について学習した結果、教団への信仰心が急速に深くなった。そして、啓太は、教団のメンバーとなってしまった。


 彼は会社で教団の普及活動を始めた。やがて、新たな自分のサークルを作り、会社の独身女性を中心に勧誘していった。

 驚いたのは奈美だった。相談した啓太が教団に入信したので、すっかり自分の話をうそだと決めつけられてしまった。奈美は、人事担当者に「復讐されると怖いので、なんとか転勤させてほしい」と頼み込んだ。このとき初めて人事担当者は、会社がカルト教団に狙われたことを知ったのである。



<メンタルヘルス豆知識>


 現代の若者たちには、カルト的な教団にはまるような予備的な感覚がある。精神科医の香山リカ氏(『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』香山リカ著/幻冬舎新書より引用)の大学生135人への調査(2006年)では、一度死んだ人間が生き返ることがあると答えた学生は24%、魂や霊魂があると思っている学生は61%、前世や生まれ変わりがあると答えた学生は56%、人にはその人特有の色のオーラがあると答えた学生は80%いた。


 だから、「占いで前世を知りたくないか?」と誘われても、半数の若者は何をバカなことを言っているんだとは思わない。たまたま、そのときその誘いに乗るか乗らないかだけのことなのだ。従ってカルト教団に勧誘されても仕方のない、危ない若者が多いといえる。




※次ページ以降の閲覧には、会員登録(無料)が必要です




●河田俊男(かわだ としお)

1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
< 1 2 >

この記事のキーワード

クリックすることで関連する記事・データを一覧で表示することができます。

一覧ページへ戻る

2ページ目以降をご覧になるには、会員ログインが必要です。
会員登録(無料)がお済みでない方はこちら

会員登録(無料)はこちら

その他のコラム記事を見る

人気記事ランキング

ココロの座標/河田俊男

[第97回「仕事が遅い理由」]
人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。

事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

[第1回「セクハラを受けていると相談されたら」]
働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。

人材育成のツボ

[組織の生産性向上へのカギ、「EQ」について考える]
アイデムの人材育成・研修部門の担当者が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづります。
注目のコンテンツ

人と仕事研究所Facebook