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ストレスチェック義務化時代のメンタルヘルス入門

第7回「役立つストレスチェック」の実施の仕方

2015年12月、職場でのメンタルヘルス対策として、労働者の心理的な負担の程度を把握するストレスチェックが義務化されました。近年、企業にとってメンタルヘルスの重要性は増しています。豊富な臨床経験を持つ著者が、メンタルヘルスの基礎を解説します。

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「とりビル型」か、「ロジシン型」か?

 

 居酒屋で最初に注文するときの決まり文句に「とりあえずビール」があります。まず、ビールをたのんでおき、その後、各自で注文するというものです。この考え方をビールの「ー」を削除して、「とりビル型」とします。それと対になる考え方として、「ロジカルシンキング」があります。「目的は何か、そのためにはどのような対策を取ればいいのか」をロジカルに考えて、対処することです。略して「ロジシン型」としましょう。

 

 ストレスチェック(以下SC)の実施については、前者では役に立たず、後者が有効と推察します。なぜでしょうか? 今回は「役に立つSC」を考えてみましょう。

 

 

SC実施後の企業の声

 

 SCを実施したところ、「WEB版で行ったが止まってしまった」「紙版が予想より多く予算がなくなった」「医師を準備したら、誰も面接希望がなかった」「面接希望が殺到して困った」「ライン長が誤って記入の仕方を指導した」「実施したら30%の社員しか希望しなかった」などが、反省点や失敗談として全国から届いています。よく話を伺ってみますと、こうした声は「とりビル型」の企業に多いように感じられます。

 

 一方、「ロジシン型」の企業には、「非常にスムーズに推移した」「社員から良いSCを実施してもらってよかった。来年も楽しみだ」「産業医から効果的SC導入実施ありがとうと礼を言われた」などの感想が、人事部に寄せられているように散見されます。
 効果を上げる5ポイント後者の円滑で効果を上げていると推察される企業に共通する点を調べてみました。次の5つのポイントがうまくいっているように思われます。

 

(1)目的

 SCは「何のために実施するのか?」が、社内でしっかり議論されているかどうかに尽きます。「とりビル型」は「義務化だから、とりあえずSCをやらなくては」「コストは最低限にしよう」ということで、価格中心に設定をしていきます。どの企業もコストに厳しいのは当然のことと思いますが、それが目的になっては本末転倒だと思います。

 

 一方、「ロジシン型」は「会社の発展と社員の健康を向上させるために何をすべきか」「そのためには、どのようなSCがいいのか」をロジカルに考え、実行可能な範囲で立案します。あなたの会社ではどのような検討が行われたでしょうか? 例えばWEBだけですと無料でできるサイトも登場しています。「安い」で選択するならば、無料サイトも活用すべきです。「とりあえず」ではなく、「ロジカル」に構築することが効果的SCの第一歩です。

 

 

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●文/佐藤隆(さとう たかし)
株式会社総合心理教育研究所 代表取締役、臨床心理士、精神保健福祉士
日本鋼管病院の精神衛生室及び同社人事部兼務にて、日本のメンタルヘルス対策草創期の実務に携わる。学術活動として300社以上の企業および官公庁を対象に、リーダーシップおよび管理職のメンタルヘルスに関する調査研究を実施。多数の企業における人事部・管理職向け研修や人事システム立案に携わる。現在グロービス経営大学院大学教授、ハンス・ セリエ財団カナダストレス研究所上席客員研究員。著書に『臨床心理学とストレス科学』(エイデル研究所)、『ビジネススクールで教えるメンタルヘルス入門』(ダイヤモンド社)など多数。
http://www.sipe-selye.co.jp

 

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