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マネジメントに関する悩みについての解決策を示したり、対処法などを解説します。
■相談
リーダークラスの男性の部下で、担当業務については安心して任せられるのですが、性格的に欲がなく、言われた以上のことについては、やろうとしません。他のメンバーを引っ張ってほしいのに、後輩が業務面で困っていても、自ら積極的に関わろうとはしないのです。後輩たちからも、頼りない先輩として軽く見られはじめており、今後が心配です。「そろそろ上のポジションについて意識したら?」と促すと、「管理職は大変なだけで、何のメリットも感じません。このままじゃいけませんか?」と開き直られました。どう対処すればいいでしょうか?
■回答
組織で働くうえで、管理職の喜びは何ものにも代えがたいものです。チームを率い、メンバーを成長させ、大きな仕事にチャレンジし、それを果たすのは、複数の人間が結束した組織だからこそ可能なことで、1人では決してできません。まずはチームリーダー的な立場で構わないので、組織で働くことのやりがいや喜びを小さなところからでも実感させてあげてください。それさえ分かれば、おのずと動きが変わってくるはずです。部下に管理職という仕事の魅力を伝えるのも上司の大きな役割なのです。
上のポジションを目指したくないという部下は、最近では珍しくありません。ジェネラリストとして組織をマネジメントする立場よりも、スペシャリストとして個人の専門性を極めたいという考えの社員も増えてきたからです。ただ、本当に管理職になりたくないのかどうかは、本音にアプローチしなければ分からないものです。
「管理職になんてなりたくない」と言ってはいるものの、実はなりたいけど簡単にはなれそうもないので、なれなかったときに落ち込まないために、とりあえず「なりたくありません」と予防線を張ってしまっている部下も案外多いもの。
こういう部下に対しては、「今は難しいと思っているかもしれないが、将来的には必ずやれると思うので、今のうちから挑戦してほしい」と、期待をかけてあげることです。どんな人でも期待されてうれしくない人はいません。何より「自分にもやれるかも」という“その気”にさせることが重要なのです。
「課長になってから課長の仕事をするのではなく、課長になる前からすでに課長のつもりで仕事をしている人が課長にとして認められていく」というのはまさに真理です。だからこそ、今から管理職のつもりで意識していれば、「なぜあの人が管理職じゃないの?」と思われるようになり、自然に昇進できるというもの。そんな話もしてあげてください。
モチベーションリソースという言葉があります。動機の源泉という意味で、人が働くときの“やる気”を生み出す核のようなものです。「この会社の中で本当にやりたいものは何なのか?」という部下の動機の源泉を聞き出して、「それをやりたいのなら、メンバーという立場ではなく、チームを率いるリーダーや管理職として取り組んだほうが、より影響力があり、大きな仕事ができるのではないか」というアプローチもあります。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『出世する人、しない人の1ミリの差』(きこ書房)など多数。
連絡先:info@planet-5.com
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