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6月末、働き方改革関連法が成立しました。残業規制の強化や有休取得義務化など、早いものでは来年4月に施行され、企業は対応を迫られることになります。本コーナーは、同法の柱の1つである残業抑制をテーマに、労働時間管理の考え方や実践方法などについて、解説します。(2018年11月21日)
■「残業からが自分の仕事」と思っていませんか?
この連載では、労働時間の削減に伴う問題点と、その改善策を紹介してきました。第1回では「社内会議の削減」について紹介しましたが、これは職場全体としての改善策でした。一方、第2回と第3回で紹介した「タイムマネジメント」は、本人の仕事の進め方についての改善策でした。今回は職場全体と本人の両方に関わる問題と改善策を紹介しましょう。
労働時間を削減する際に、多くの職場で大きな問題になるのが、私が「残業から本気」と呼んでいるタイプの人です。「残業から本気」といっても「定時までは本気を出さずにダラダラやる」という意味ではありません。集中して考える必要のある仕事(本気でやりたい仕事)をやろうと思っても、定時までの間は仕事を中断させられてばかり。だから、そういう仕事は残業に入ってからじっくりやる。そんなやり方が慢性化しているのが「残業から本気」タイプの人なのです。
誤解のないように補足しますが、このやり方をしているのは「仕事ができない」タイプの人ではなく、むしろ「仕事ができる」タイプの人や「周りから頼りにされている」タイプの人に多いです。仕事ができるだけに、いろんな質問や相談事が舞い込んできますし、そのたびに仕事を中断させられるので、集中できる時間が確保できずに残業に頼ってしまうのです。
このタイプの人にとって労働時間の削減は、集中しやすい残業の時間を削ることを意味します。時間の量が減るだけでなく、質の高い時間から削られていくことになり、これは本人にとってかなりのストレスになります。そのため労働時間を削減することに反発したり、抵抗したりする場合もあります。そういう人に心当たりはありませんか?
この「残業から本気」は本人の仕事のやり方の問題でもあるため、前回までに紹介したタイムマネジメントを行うことで改善できる部分もあります。しかし、「集中できる時間」があまりに少なすぎるようだと、本人の努力だけでは解決できない場合もあります。仕事をする環境そのものを改善することも必要なのです。
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●文/水口和彦(みずぐち かずひこ)
時間管理コンサルタント。大阪大学大学院修士課程修了。住友電気工業株式会社にて研究開発・生産技術・品質管理エンジニアとして勤務するなかで時間管理を研究し、残業を大幅に削減する。その経験を活かし2006年に独立。数少ない「時間管理(タイムマネジメント)専門講師」として、企業や自治体、教育機関などにおいて時間管理の研修や指導を行っている。
『部下を持つ人の時間術』『仕事力が3倍アップする時間活用法』(実務教育出版),『時間活用術』(産業能率大学出版部)など時間管理に関する著書多数。
http://www.bizark.co.jp/profile2.html
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